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つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)

つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)

つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)

作家
永井荷風
出版社
岩波書店
発売日
1987-03-16
ISBN
9784003104149
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つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4) / 感想・レビュー

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コットン

昭和初期の女給として奔放に生きる君枝の妖婦っぷりが凄い。

2020/03/28

いたろう

昭和初期の銀座のカフェーの女給、今で言うとクラブのホステスか。男性との関係は多いが、恋愛ではなく、嫉妬という感情を知らない主人公・君江と自由奔放な君江に翻弄される男たちの性〈さが〉。店に売られて身を売る女性、男に囲われる女性、女性が男の隷属物だった時代から、女性が自分の意思で男を選ぶ時代へ。カフェー通いをしていた荷風翁らしく、女給をはすっぱだが強い女性、昭和の新しい女性像として、生き生きと描いている。

2016/01/26

クプクプ

面白く、集中して読めました。主人公の君江が魅力的でしたし、男好きの君江の噂が広まるというのが現代と重なり引き込まれました。場面場面で当時の映像が頭に浮かびました。また後半のセリフがつづく場面も心地よかったです。一度では登場人物が把握しきれないので繰り返し読むべき本だとお思いました。私自身、いつもの日常と異なる高揚感に包まれて読んだので、短い本ですが永井荷風らしさが存分に発揮された、ただならぬ本だと思いました。

2018/10/08

Mijas

昭和初期の東京の雰囲気を味わいたくて永井荷風を読む。江戸趣味も混在するモダニズムの時代。カフェー、ロイド眼鏡、円タクなど文中に出てくる言葉の数々が当時の様子を物語っている。身近な地名も出てきたので、今と昔を比較するという楽しみ方もできた。左内坂の神社の境内から当時は堀が見えたとは・・毘沙門あたりの狭い路地裏も散歩したくなったり、情景を思い浮かべられる程、丁寧な描写だ。それ故人間の描写も写実的で心情が推し量れない。特に君江は人形のようだ。解説にもあるが、人間が虚無的に描かれている点がこの作品の凄味なのだ。

2015/01/08

屋根裏部屋のふくろう🦉

この小説発表当初、文壇はこぞってこの作品を酷評したんだよね。たしか「当時の菊池寛中心の文壇主流派VS荷風」そして谷崎潤一郎は中立(実は荷風派)という図式。荷風は君江のような女給を描かせたら旨い。そして文章に品がある。作品全体にはなんとも言い表せぬ「切なさ」が流れる。「人間一生涯の中に一度でも面白いと思う事があればそれで生まれたかいがあるんだ。時節が来たら諦めをつけなくっちゃいけない」というムショ帰りの川島のセリフが、浮き草のような職業の人たちを言い表している。

2018/09/12

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