読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3)

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3)

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3)

作家
谷崎潤一郎
出版社
岩波書店
発売日
1986-06-01
ISBN
9784003105535
amazonで購入する

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

優希

日本語が美しいのに魅せられました。特に『吉野葛』が素晴らしい。美しい女性、母性思慕の精神が至る所まで細やかに描かれていて、艶かしさを感じます。南朝の血が吉野まで流れているというのもロマンのようです。『蘆刈』は少々奇妙な恋愛が描かれ、艶的な風景に、谷崎の色合いが香り立っていました。女性崇拝の空気が漂う作品。挿絵も含め、2編一緒に読んでこその1つの「芸術作品」と言えるでしょう。

2016/02/16

Shoji Kuwayama

私は、解説は後から読む派です。解説を読んで思うことがあります。なるほど小説とはこの様に読むものなのかと脱帽することしきりです。私の読解力の低さを嘆くばかりです。この『吉野葛』、再読ですが、解説に書かれているような感性で読むことは、私にはまだまだ青二才でした。今でも難路の奥吉野、吉野川の源流近くが舞台ですが、単なる紀行ではなく、語り手の「私」から見た、友人の津村の人間模様、家族愛です。吉野と同じぐらい奥深い物語でした。

2018/11/07

安南

奥泉光『蛇を殺す夜』の参考に再読。蛇殺ヒロインは自称自天王の生まれ変わり。この南朝皇胤の御首伝説は確かに魅力的。作中の私(谷崎本人?)は、このあまりにも魅力的なエピソードに溢れた吉野、南北朝を舞台にした読み物が存在しないのを不思議に思い、自ら着手したいと考えているが(戦前は憚りがあったのか?)今なら皆川博子の傑作『妖櫻記』や、漫画では木原敏江の『雪紅皇子』もある(これなど、まさに谷崎の構想した物語そのものだ)谷崎お馴染みの母恋もので、『義経千本桜』の狐忠信と静の鼓が重要なモチーフなのが嬉しい。

2015/01/07

Y

「吉野葛」の語り手は谷崎本人だとは言いきれないみたいだけど、谷崎潤一郎の描く自天王の物語は読んでみたかった。南朝の血が実は奈良の吉野でひそかに続いていたなんてロマンを掻き立てられる題材なのだろう。谷崎の理想の女の人に対する憧憬って亡霊のようだ。つかみどころがなくて、底なし沼のように執着心がどこまでも満たされることがない。「吉野葛」に出てくる熟柿のおいしそうなこと、「蘆刈」の舟での月見と遊女の風景の艶々しいことが印象的。

2015/02/15

ブエノスアイレスの道

「ろうたけて」いる小説。随筆風で、とっつきは悪かったが、読んでいるうちにその話術にひきこまれて、一気に読み終わる。美しい女性や母親とそれを盲目的に慕う男性のいろんなバリエーションの二つの例。考えたら奇異で不気味なことなのに、とても自然で品のある伝聞形式なので、途中からは気持ちよくどんどん進む。ひらがなと漢字のバランスがたいへん良くて、ひらがな表記の良さが味わえる。「ろうたけた」お顔のお遊さま…。「蘆刈」のラストシーンは大好きだ。お酒は「とく、とく」とつぐ。

2015/02/17

感想・レビューをもっと見る