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幼少時代 (岩波文庫)

幼少時代 (岩波文庫)

幼少時代 (岩波文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
岩波書店
発売日
1998-04-16
ISBN
9784003105559
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幼少時代 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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水無月

谷崎が円熟の筆で綴る明治の東京日本橋界隈の思い出。そして同じ時間と場所を知る鏑木清方の素晴らしい挿絵。贅沢な読書だった。谷崎文学の根を培ったエピソードの数々はいずれも面白い。関東大震災以降、移り住んだ関西を舞台にした作品のイメージが強いけれど、非凡な感性が下町生まれの江戸っ子という生育歴で萌芽し、育っていく過程がよくわかる。錦絵に描かれた美しい母も甲斐性なしの気弱な父も、ちゃきちゃきの江戸弁を話し、芝居と美味と贅沢が好きで、江戸人の名残を濃くとどめた人々だった。

2018/11/22

ラウリスタ~

東京人には故郷がないを地で行った人。関東大震災以来関西に移住したからでもなく、彼が幼いころを過ごした東京は、もうどこにも残っていない。昔ここらへんに住んでいたはずなんだが・・・なんて場面読んでも、「いや、もっとちゃんと探せよ」って思ってしまっていたが、そうか東京じゃ無理なんだ。というわけで明治に、東京で育った一少年がいかに暮らしてきたかっていうもの。彼の自伝的小説と比べればはるかに退屈ではあるが、資料的には面白いと思う。

2013/07/15

れどれ

年月を経た過去話なら事実関係よりも情感的な挿話ばかりが取り沙汰されそうなところを、どちらにも寄らず、飾りっけなしに、動画と静止画とを自在に行き来させながらしゃくしゃくと像を結ばせていく筆致は流石の手並みでひたすら恐れ入る。馴染みない固有名詞の羅列には参ったがそれを差し引いても抜群に面白い。文芸と少年との結びつきには神秘的な崇高さを感じる。

2018/07/17

tohoho

谷崎潤一郎の幼少期の回想記。4歳から小学校卒業頃の茅場町、人形町界隈を舞台に愛着込めて描き出された回想記には、谷崎文学を読み解く話がつまっており、鏑木清方の挿絵も楽しめる。略図を参考に散策するのもいいかも知れない。

2013/02/17

しきりに

谷崎潤一郎の原型。面白くないわけがない。嘘みたいに谷崎の小説全ての根っことなるような経験の数々が綴られている。読みながら自分の記憶にある似たような経験を思い出させられたりもしたのだけれど、谷崎は特殊な経験というよりも感性の面で凡人からは程遠い。老齢の谷崎の写真には世界を静観する天才の雰囲気があるが、子供の頃からその才をしっかりと備えていたのだと思われる。

2015/07/06

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