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美しき町・西班牙犬の家 他六篇 (岩波文庫 緑 71-5)

美しき町・西班牙犬の家 他六篇 (岩波文庫 緑 71-5)

美しき町・西班牙犬の家 他六篇 (岩波文庫 緑 71-5)

作家
佐藤春夫
池内紀
出版社
岩波書店
発売日
1992-08-18
ISBN
9784003107157
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美しき町・西班牙犬の家 他六篇 (岩波文庫 緑 71-5) / 感想・レビュー

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ワッピー

三読。佐藤春夫の初期の不思議なテイストを堪能。ウォーターフロントに理想の街を建設する「美しき町」、散歩の途中に出会った不思議な家と犬「西班牙犬の家」、中国の哀しき恋物語「星」、コミュ障医師と婦長の戦い「陳述」、偉人の談話「李鴻章」、家族事情を妄想する「月下の再会」、パリの日本人「F・O・U」、熊野の民俗誌「山妖海異」の6編を収録。表題2作はワッピーの気に入りですが、今回読んでみると、今でもありそうな「陳述」事件、「F・O・U」の妙なもの悲しさ、「山妖海異」の伝承世界の奥深さにも興趣を感じました。おススメ!

2020/04/19

壱萬弐仟縁

西班牙(スペイン)の方は、 (夢見心地になることの好きな人々の為の短篇5頁)。 美しき町で、 ウヰリアムモリスの「何処にもない処からの便り(傍点)」 という本も出てくる(47頁)。 同時代の人という感じが伝わって来る。 美しい町では、生きて動く大きな芸術品で、 祖先からの風習で金儲けのために仕事をするのではなくただ好きな 楽しみのために仕事をしている(59頁)。 素晴らしい理想的な暮しである。 陳述で、社会学なり経済学なりの書物の一頁も 読みたいと思いました(137頁)。

2014/03/28

tsu55

美しい八つの短編。 ただ美しい。だけど、それだけかもしれない。いや、こういう小説は、ただその美しさを味わえばいいのであって、それ以上のものを求めてはいけないのかもしれない。『美しき町』と『F・O・U』が気に入った。

2021/01/09

ハルバル

川本二郎氏の「大正幻影」が佐藤春夫贔屓だったので読みたくなった。大正末期、芥川以上に谷崎と並ぶ人気があり、俗に門弟三千人と呼ばれた文壇の大御所だったのに現代ではなぜか先の二人と比べてあまりにも読まれていない。その一つの原因はなんでも書ける器用さのせいで代表作が定まらなかったためではないか…(と解説にもある)。その作風の自在さの伝わる短編集。世間知らずのロマンチスト三人が理想の町づくりを夢想する「美しき町」、中国古典に材を採ったと思しき「星」が特に好みでした。「西班牙犬の家」の犬はメフィストフェレスか?

2020/08/18

★★★★★(佐藤春夫と言えば谷崎夫人の事や太宰の例の芥川賞欲しさの書簡の事、師事した弟子の多さなどが頭に浮かぶも、実際に佐藤自身の作品を読んだことはなく今回が初読となる。感想から言うと実に意外でこういう小説を書く作家(良い意味で)だったのかという思い。個性的なのか…非平凡なのか…そうでないのか…。特に強烈な印象を与える訳ではないが、独特の距離感と温度感があり、とにかく上手い。佐藤春夫の温度というものを作品に対して感じ、その温度は特殊で他の作家とは少し違う。収録作品(短編)はバランスがよく、何より題材が豊富

2011/10/25

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