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梨の花 (岩波文庫 緑 83-3)

梨の花 (岩波文庫 緑 83-3)

梨の花 (岩波文庫 緑 83-3)

作家
中野重治
出版社
岩波書店
発売日
1985-04-16
ISBN
9784003108338
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梨の花 (岩波文庫 緑 83-3) / 感想・レビュー

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HANA

明治末期から大正にかけて、子供の眼から見た福井の村の日常を描いている。特に目を引く事件が起きるわけでなく、空を行く雲の行方を見るような、流れる水の行く末を見るような、そんな平凡な日常が綴られている。友達に揶揄われたり、上級生向けの小説を読んだり。しかもその日常は断片が示されているだけであり、何が起きているのかは書かれていない。ただ何故こんなに引き込まれるのか。やっぱり子供時代は瑣事が何よりも大事で、大人の世界を覗き見るのが楽しみで、何よりも一日がとても長かった。読みながら何となくそれを思い出したからかな。

2017/05/30

たつや

主人公、良平の日常生活を淡々と綴っていくが、方言が多く、読みずらかった。時代がはっきり分からなかったが、(読み落としか?)わらじが出て来るので明治頃か?ドラマはなかったけれども、情景描写が、当時を想像させてくれるので、貴重な資料集の様な印象も受けた。

2016/06/09

おおた

福井方言まみれ。返事が「あい……」とか語尾の音なんかも東の人間からするとふらふらしているように聞こえてどうにも頼りない。それでも小学1年で一升徳利をよろよろと運ぶ良平少年から高等学校へ進むまでを見ていると、親戚の子供のように愛着が湧く。明治後期から大正にかけての話、しかも相当な田舎の話なので、人によっては遠い時代の昔話に見えるのかもしれないけど、わたしの実家もかなりのものだったので親近感を抱く。昔語りはメディアがない時代に文字や物語を覚える最高のメディアだったことに気づかされる、言葉が息づく物語。

2016/11/01

エル・シュクル

これこそ純文学と言うのではないでしょうか? さごか平和、そして緩やかに語られる日常と言った感じですが、作者の後に「歌の別れ」等プロレタリア文学に浸っていく、梨の花とは打って変わって狂気の様な荒々しくなる文章を考えると少し切なくなります。 重厚な本で中身が優しい本はこの本以外にまだ出会ったことがありません。中野重治さん自身の儚いよあな作品が好きなので次も読んでみたいです。文アルから知った作者だったのでなんだか切無くなりました。

2020/04/25

原玉幸子

主人公良平の小学校一年生から中学校一年生迄の(『次郎物語』っぽい?)成長記。感情移入して子供心を感じることや、幼い主人公があれこれ飛び飛びの記憶を辿るところなどで自身の小学生の頃を思い出し感傷的な気分に浸るのはいいのですが、作品自体は(子供のいじめや嘲りの場面で全く無くはないですが)「生きる為の苦悩を感じる小説」ではなく「方言が一寸読み難い長い児童文学」でした。たまたまかも、でも今は児童文学を読む気分にはならず、でした。(●2018年・春)

2020/03/06

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