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外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

作家
泉鏡花
出版社
岩波書店
発売日
1991-09-17
ISBN
9784003127124
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外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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ヒロミ

鏡花の濃厚な初期短編集。「義血俠血」と「化銀杏」が好きですね。「海城発電」は鏡花らしからぬ社会派な作品。戦争に対する強い憤りを感じる。「凱旋祭」もつらいですね。鏡花の弱い者への眼差しと共感は初期作品にもはっきりと表れています。解説にもあるように本当に極端な展開の話ばかりでした。

2016/09/30

優希

擬古文の文章が美しい初期の短編集だと思います。女性の生というものに強く惹かれる鏡花だからこそ生まれた『外科室』が特に素晴らしいと思います。一度目を交わしただけで恋に落ちた学生と少女が外科医と患者として再会することから始まる物語のエロチックさといったらこの上ないものがあると感じました。愛に準ずる物語の輝きを見たような気がします。どの話も不思議な感覚を伴い、常識では考えられない耽美的な世界があるのが魅力でしょうか。具体性を欠いた感性があるからこそ鏡花の世界は成立しているのだと思いました。

2014/08/12

ひとちゃん

鏡花は作中人物が極端、という悲鳴が聞こえてきそう。他の作家との差別化を考え、あえて「狙って」、痺れる字面で埋める作風になったのでは?と思ってみたり。逆に、登場人物が時空を行ったり来たりする今の作家さんの本よりも、読みやすいかもしれません。また、鏡花の作品は朗読向けの、まるで口伝本のよう。流麗、リズムがいい。そして息があがる前に一篇が止まる。短篇なのはそれゆえか。

2020/03/11

yumiha

旧字に文語体、初めて見た言葉などに翻弄されながら読んだ。どの短編も生温い癒しなどありませぬ。おどろおどろしくまがまがしく猟奇的嗜虐的耽美的。読者を選ぶ。たとえば、表題作「外科室」の「雪の寒紅梅、血汐は胸よりつと流れて」などという描写は、お好きな方にはたまらんでせう。意外だったのは、「海城発電」(発電所の話ではない)や「琵琶伝」などのむごたらしい軍人たちが登場する話。日清戦争の頃に、そんな話を発表しても捕縛されたかったんだと驚いた。太平洋戦争時なら特高警察にいたぶられること、間違いなし。

2019/04/22

ベイス

箸休め感覚で短編を、と思ったらなんのなんの、泉鏡花の世界観にぐいぐいと引き込まれた。ちょっとくせになりそうなレベル。観念小説、と呼ばれるらしいが、登場人物がやたらと「極端」。心の中で「観念」をこれでもかと燃えたぎらせ、たいていは異常行動の果てに悲劇的な結末を迎えるのだが、当人たちにとっては「思いを遂げた」という意味で本望なのだ。極端すぎる観念の対象が、「結婚」や「愛国」といった社会一般通念への反旗、というところがまた共感ポイント。これはくせになる。

2020/05/15

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