KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

荒野の呼び声 (岩波文庫 赤 315-1)

荒野の呼び声 (岩波文庫 赤 315-1)

荒野の呼び声 (岩波文庫 赤 315-1)

作家
ジャック・ロンドン
Jack London
海保眞夫
出版社
岩波書店
発売日
1997-12-16
ISBN
9784003231517
amazonで購入する

荒野の呼び声 (岩波文庫 赤 315-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

ゴールドラッシュが起こった頃のアラスカを舞台に、苛烈な大自然と砂金に憑かれた男たち、そしてそこに生きることになったバックを描く。本書はジャック・ロンドンの経験と緻密な観察眼、そして何よりも豊かな想像力に裏打ちされている。人間とは3万年も前から付き合いのある犬だが、これほど犬の持っている可能性と力を描き切った小説もないだろう。また、終盤で野生の声に呼ばれてからの物語は、ロンドンの作家的想像力の本領を発揮した見事な成果だ。これまでに失った犬たちには悪いことをしたと思う。その分、せめて今の愛犬には幸せな生を。

2015/07/04

のっち♬

判事の猟犬バックは園丁助手に売り飛ばされて橇犬にされ、過酷な環境下で原始の野性に目覚めてゆく。舞台はコールド・ラッシュに沸き立つカナダ北西部。自身の経験や他書のアイデアが間断することのない(開拓精神的な)力感と波乱に満ちた冒険譚に昇華されており、出世作というのも頷ける。棍棒や鞭を手にした人間たちは犬に非情に振る舞う者も多い、更には厳しい自然界の掟。弱肉強食の世界観は著者の強い自立心の顕現であると共に、社会主義思想の背後を読む材料としても興味深い。無能な三人衆とソーントンの対比も鮮明なメッセージ性を感じる。

2022/08/25

扉のこちら側

2016年697冊め。【195/G1000】凍てつくアラスカに思いを馳せる。野生か忠誠心か。​牙を抜かれて​不自由なく暮らしていた大きなお屋敷から攫われた​悲劇​が人間のせいならば、野生の声に呼ばれた後が本来の姿である彼らを愛玩動物の地位に留めておいたのも人間のエゴ。​シートン動物記の『狼王ロボ』を思い出す。​ストーリーを知っていたので、多分昔原書で読んでいるはず。

2016/09/06

metoo

子犬を飼い始め成犬になった頃、夜に突然遠吠えをすることがあった。空を仰ぎ誰に教えて貰った訳でもなくそれは仲間に呼びかけるような、己の中にある野性を確認するような、獣の匂いがぷんぷんして、私は遠ざけられた気がした。太陽の降り注ぐ大きな屋敷で何不自由なく暮らしていたバック。連れ去られアラスカで犬ゾリで働かされ主人が変わり仲間が死に、生きるか死ぬかの瀬戸際を潜り抜け狡猾さと野性を研ぎ澄ませたバックは、準備を終え飼い主に忠節を尽くした後、己の生きる道が決まった。呼び声に呼応する気高きバック。さようならバック。。。

2016/01/26

kazi

訳を変えて再読してみた。ジャック・ロンドンは大好きな作家だが、中でもこの作品は特に好きだな。本当に読み飽きない。大傑作。後書きでも書かれていたが、物語の構成自体は非常にシンプル。温暖なカリフォルニアの農園で飼われていたセントバーナードとシェパードの雑種犬バックが盗み出されて極寒のユーコン川を往復するそり犬となる。極寒の世界での厳しい経験が次第に野生の血を呼び覚まし、人間世界との絆を断ち切ってオオカミの群れへと入っていく。

2021/07/23

感想・レビューをもっと見る