詩と真実 第1部 (岩波文庫 赤 406-9)
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詩と真実 第1部 (岩波文庫 赤 406-9) / 感想・レビュー
lily
ゲーテの幼少期からウェルギリウス、聖書、乱暴なキス、劇場、舞踏会、閲兵式、行進、ラシーヌ、モリエール、コルネイユ、美しい少女との初恋...出逢うもの全てがゲーテの才能と感性が開く方向にしか働くことはなく、好奇心は強化されるばかりだった。私も幼少期からNetflixと岩波文庫に出逢いたかったな。小学校の図書室で遊んでいたのは『かいけつゾロリ』と『ウォーリーをさがせ!』レベルのものだったもの。活発にすぎるか寡黙にすぎるかのゲーテの人格も興味深い。相手によって臨機応変に接する術を身につけていたのかな。
2021/04/29
翔亀
ゲーテは小説より戯曲を多く書き続けていて、若きゲーテから老ゲーテへの変遷を戯曲により辿ろうと思った。ゲーテの生きた時代がフランス革命を挟んだ激動の時代であり、ゲーテ自身も文学→官僚→自然科学者→文学とこの時代の政治のただ中で生きたことに興味を覚えたからだ。本書は61歳で書いた自伝。まずここから入ろう。この第1部は15歳まで。■自分の15歳までをどう書けるだろうか。小中学校の断片を、なつかしく想い出すことはできるが人に語るべきことはないはずと思っていた。ゲーテも覚えているのは断片に過ぎない。でもその断片が↓
2020/10/29
Kota
第一部は15歳頃まで。祖父が市長、父は枢密顧問官という恵まれた家庭で、これがゲーテの真っ直ぐで肯定的な気質にも大きく影響したようだ。この歳でギリシア神話を題材にした寓話を作ったり、英、仏、伊、ギリシア、ラテンの各言語を話す兄弟同士の手紙のやり取りを想定して外国語を学習するなど、神童っぷりが全開。第一部のクライマックスは神聖ローマ皇帝の戴冠式と、同時進行する初恋の行方。この辺のストーリーテリングの妙はさすがの一言。当時の街の記録的価値も当然あるが、やはりこれは自身の少年時代を題材にした「作品」なのだ。
2019/08/09
てれまこし
やはり天才の才能も地上で受け取る資本の量や種類によるところが多い。市長の孫で、家の蔵書を自由にめくり、有閑階級の親から直接教育を受け、同年代の子らよりも大人に囲まれて育つ。豊かな文化資本と生活の必要からの距離。詩的想像力はこうした環境でないとなかなか育めまい。共感力の強さというのも、祖父のように権威あるものを身近にもったことと関係がありそう。抗いがたい権威があることを当然視しつつ、権威に抵抗する必要をあまり感じない。あらゆる存在をその位置において理解しつつ、決して完全に同化しないという態度が生まれてくる。
2020/12/01
有沢翔治@文芸同人誌配布中
『若きウェルテルの悩み』などで有名なゲーテ。彼はどのような生涯を過ごしてきたのだろう。幼少期から青年期を振り返る。フロイトが精神分析の題材にした、食器を窓から投げるエピソードが収録されている。
2021/11/20
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