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影をなくした男 (岩波文庫)

影をなくした男 (岩波文庫)

影をなくした男 (岩波文庫)

作家
シャミッソー
Adelbert von Chamisso
池内紀
出版社
岩波書店
発売日
1985-03-18
ISBN
9784003241714
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影をなくした男 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

19世紀の香も高いメルヘン仕立ての物語。自分に魂を売り渡せと迫るメフィストフェレスのような悪魔も登場するが、怪奇趣味というわけではなく、もっとおおらかな筆致で描かれる。そもそも影を、限りなく金貨を生み出す魔法の袋と取り替えるといった最初の発想からしてなんだか愉快だ。物語の後半では、これに加えて魔法の靴までが登場し、著者の博物趣味が披瀝されるが、これも思いっきり荒唐無稽で、明るさに満ちている。もっとも、そうした表面的な明るさや、開き直りの背後にはずっと「影を失った」ことを喩とする暗部が付き纏っているのだが。

2014/10/14

藤月はな(灯れ松明の火)

「悪魔学」、「幻想文学」でも有名処として紹介されていた本。忌み嫌われている灰色の男と取引して影と幸福の金袋を交換してもらったシュレミール。しかし、影がないことから人々から忌み嫌われるようになってしまう。影=群衆にいても当たり前だという平凡さの暗喩なのだろうか。取引するのは魂か影かの問答は本当に怖かった・・・・・T-T救いはベンデルとミーナ、そして魔法の靴による生き甲斐の発見でしょう。そうなるとこの物語は金稼ぎに大人がガリガリ亡者ぶりのために嫌われるも生き甲斐を見つけたという解釈も出来るのかもしれません。

2013/07/08

NAO

自分の影に値打ちなど何も感じなかった男が、欲望に負けて影を売る。だが、影を失くしてみると誰もがそこに注目し、彼を忌み嫌う。怪異譚だが、人は大事なものを失くしてしまうまでその価値に気づかないという寓話でもある。だが、運悪く軽はずみな行動で影を失くしてしまったとはいえ、彼のその後の態度には「影がある普通の人間」よりもはるかに高潔さが感じられるところが、何とも痛ましく、皮肉なところだ。それにしても、影とはいったい何なのか。いろいろと考えさせられる。

2016/12/01

mii22.

「あなたのその影をおゆずりいただけませんか」謎の男に乞われるまま幸運の金袋と引き替えに「影」を譲ってしまった男のお話。謎の灰色の服の男とは何なのか..「影」とは何なのか..。メルヘンチックに仕立てられた児童書のような読み心地で面白くはあるが、寓話的でもあり容赦ない暗部も感じられる。色々探ってみたくなる不思議な物語。

2016/08/27

スプーン

金と引き換えに、自身の「影」をなくした男の話。ここでの「影」は、自身の存在意義や個性、世間体や肩書の例え。その男がはからずも生きる目的を見出すのですから、面白い。良く出来た逸品。ヨーロッパの小説は面白すぎる!

2018/12/01

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