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暴力批判論 他十篇: ベンヤミンの仕事 1 (岩波文庫 赤 463-1 ベンヤミンの仕事 1)

暴力批判論 他十篇: ベンヤミンの仕事 1 (岩波文庫 赤 463-1 ベンヤミンの仕事 1)

暴力批判論 他十篇: ベンヤミンの仕事 1 (岩波文庫 赤 463-1 ベンヤミンの仕事 1)

作家
ヴァルター・ベンヤミン
野村 修
出版社
岩波書店
発売日
1994-03-16
ISBN
9784003246313
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暴力批判論 他十篇: ベンヤミンの仕事 1 (岩波文庫 赤 463-1 ベンヤミンの仕事 1) / 感想・レビュー

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傘緑

「タルムード…天使は――毎瞬に新しく無数のむれをなして――創出され、神のまえで讃歌を歌いおえると、存在をやめて、無のなかへ溶けこんでゆく」頭を抱え痛めながら読んだ本。もう少し素直に書いても罰は当たらないと思う。タルムードと資本論を楕円の二つの焦点に、その間を筆とともに揺れ動く謎めいた人物であるベンヤミン。相反する二つの世界をつなぐ中間的な存在がクレーの描く天使たちだったのかな?そんな彼が終生手放さなかった、クレーの『新しい天使』。彼には啓示を授けたようだが、私には夢に出てきそうな悪夢の元を、天使もいろいろ

2016/10/31

彩菜

暴力とはある目的への直線的手段に過ぎない。だがそこには戦争暴力の最終局面が示すように新たな関係を確定し法として認めさせる法措定の力が付随している。その力ゆえに法は暴力を許容せず、法への服従という強制の暴力で自らを維持しようとする…こうした法と暴力の連関をベンヤミンは明らかにしてゆく。暴力から私達を守る法が一方で常に暴力を内在させている事、彼はこの暴力的法の外を希求するがそれが可能なのか私には解らない。ただ法が絶対でも正義でもなく、人が創る全てのものと同様にその内部に矛盾を抱えている事は忘れないでいたい。

2024/04/22

しゅん

おそらく読むの三度目だが、未だに言葉が手からすり抜けていくのを確認する作業だ。「暴力批判論」にしても、まずは神と神話の関係を密に紐解いていかないと何も掴めないのかも。「翻訳者の課題」の「多くの言語をひとつの真の言語に積分するという壮大なモティーフが、翻訳者の仕事を満たしている」というのは面白かった。つまり翻訳者はバベルの塔の建設に携わっているということか。その他「一方通行路」のシュール的にも思えるアフォリズムも興味深いし、「認識批判論序説」のメタ哲学は鋭く批評的、な気がする。

2017/08/18

かふ

ベンヤミンの哲学的草稿からエッセイまでの11編の文章。一番好きなのは最後の『1900年前後のベルリン幼年時代』。これはプルースト『失われた時を求めて』のベンヤミン版だった。『翻訳者の課題』でドイツ語を翻訳語に逐語訳するのではなく、ドイツ語が翻訳語化する変革を促している。それはドイツを閉じられた精神とするのではなく開かれた世界に誘う試みだった。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n7b7b6c790ffb

2022/03/08

彩菜

法の根源とは運命の冠を被った暴力ではなかろうか、とベンヤミンは言う。例えば戦争という暴力の後の講和、それは諸関係を修正し確定し新たな法として認めるだろう。暴力は法を措定する。その法は法を保証する権力という暴力の代理人を起源とし、その維持の為に暴力を潜在させ、結末として相手が協定を破る時には暴力を用いる権利を持っている。その性格は運命的で逃れる希望があるだけに脅迫的、その二義的平等は貧者にも富者にも橋の下で眠る事を禁じるのだ、と。こうした法の暴力性と性格は現在もまるで変わっておらず、彼の言葉は今なお鋭利だ

2019/10/27

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