地底旅行 (岩波文庫 赤 569-2)
地底旅行 (岩波文庫 赤 569-2) / 感想・レビュー
ケイ
海底二万里と混同して読了したつもりでいたこの作品。もっと早く読めば良かった。時に150年前の科学でここまでわかっていたのか?と比較してしまう自分に興醒めしながらも、話の世界に引き込まれた。出発地点はドイツ。地底に行くのにアイスランドから。カギは火山。なんて無謀な!と教授にあきれ、分別のありすぎるアクセルにはイライラし、冷静で強く頼りになるハンスがいることにホッとした。いけそうで行けない地底と彼らの珍道中がもたらす興奮は、ヴェルヌの中でも一番じゃないだろうか。
2017/10/19
青乃108号
作家という人は一体どうしたら、このような奇想を得られるのだろう。百数十年も前の作家の創造した地底世界は、もしかしたら本当に俺の足下の遥か彼方に存在してるのではないかと思ってみる。センス・オブ・ワンダーに溢れた舞台での波乱万丈の旅行記に、そんなアホなと突っ込みながらもしばし現実のウサをすっかり忘れていた。こういうのこそ読書の楽しいところだ。
2021/08/23
扉のこちら側
2016年677冊め。【193/G1000】6月くらいに読了して登録したはずだが消えてしまっていたので登録しなおし。地底に潜るまでが冗長に感じたが、冒険譚は非常に面白い。失われた時代の世界が地底に広がっていたシーンが素敵。鉱物が好きなので、その当たりの記述があるのも楽しめた。
2016/09/03
のっち♬
アイスランドの火山の噴火口から地球の中心を目指すSF冒険譚。「意志を持った人間であれば、心臓が動いてるかぎり、肉が生きているかぎり、絶望に陥るなどわしは認めん!」言語学、地理学、地質学、古生物学など幅広い知識が散りばめられ、臆病で優柔不断だが旅を通して成長する語り手、堅い意志を持った科学者の伯父、冷静沈着で寡黙に献身するガイドが繰り広げるユーモラスでスリリングな珍道中は読み応えがある。情景が鮮明に浮かぶ巧みな描写力も冴え渡り、リウーの挿絵も相まって独創性豊かな世界観に浸らせる。ロマンと知的興奮溢れる一冊。
2020/08/18
nakanaka
現実主義者のアクセル、勇気と知性を兼ね備えたリーデンブロック教授、冷静沈着なハンスの三人による大冒険。名作ですね、面白かったです。この年で冒険モノにここまで昂奮してしまうとは、恐るべしジュール・ヴェルヌ!物語を生み出す力からも「SFの父」たる所以がわかりました。鉱物学や物理学などの確かな知識からくるリアリティもさることながら魅力的な三人の冒険家もこの作品を素晴らしいものにしてくれています。特にハンス、頼りになるなぁ。地底深くで見たマストドンの群れと4mもの巨人には背筋が凍ります。もし捕まっていたら…。
2017/03/03
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