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ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

作家
アンドレ・ブルトン
巖谷國士
出版社
岩波書店
発売日
2003-07-17
ISBN
9784003259023
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ナジャ (岩波文庫) / 感想・レビュー

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蓮子

美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろうーー「ナジャ」のラストを飾るこの言葉が全てを物語り、そして全てはそこへ収斂していくように感じた。ナジャ。それはロシア語で希望という言葉のはじまり。本書では綿密で詳細な注解が付けられているけれどやはり内容は難解だ。でもシュルレアリスムは(他の芸術もそうだけれど)複雑に考えるよりもその中へ深く分け入って行って体感し芸術の最後の砦となった人間の無意識の世界、その神秘の美しさに揺蕩うのが楽しむ秘訣かもしれない。ブルトンの「狂気の愛」「シュルレアリスム宣言」も再読したい

2018/08/18

のっち♬

「私は誰か?」「私が誰とつきあっているかを知りさえすればいい」—パリで出会った女性ナジャとの交際記録を思いのままに書き綴った自伝小説。情景描写を省いた文章をデッサンや写真とリンクさせた斬新な表現が特徴的。繊細な感性と奔放な精神をもったナジャには妖しい美しさがあり、作品を幻惑的なものにしている。支離滅裂な言動や運転中のキスの挿話などは彼女の危うさを物語っているが、それもひっくるめて著者には刺激的だったのだろう。シュルレアリスムの詩神への哀惜の念が漂う代表作。「美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろう」

2021/02/01

藤月はな(灯れ松明の火)

シュールレアリズムを宣言したブルトンにおける愛=痙攣的美を描いた作品。挿入された写真やスケッチにおける文章との繋がりと無尽蔵に解釈される言葉達の翻弄が、掴みどころがなく、気ままだからこそ、精神を病んでしまったナジャとの交流をより、切なげに演出しています。痙攣的美とは、狂気のように縛り付ける現実性を超越しつつもその狂気の論理的且つ現実に依存するという二律背面を指すのか。

2013/11/20

内島菫

シュールレアリズムでなくとも「体験をどうかくか=どうかかないか」=「どう作品化するか」ということは、永遠の宿題のように思える。ブルトンは、35年の時を経ても夏休みを終わらないものにするかの如く、本書に修正を入れ宿題に取り組み続ける。つまり、35年の間に決定版になったかのように思われていた旧『ナジャ』に、ぎこくちなく揺さぶりを加える。これは、動的な美も静的な美も否定していたブルトンの痙攣的な美への執着の表れだろうか。

2018/10/30

A_kiriko

月明かりに照らされたトランプのお城が音もなく静かに崩れていく。青のなかの青に浸された深い夜の孤独なエレガンスの残り香とともに、最後に落ちて表向きに倒れた唯一のカードは、月光の真下でひとり世界の数を数えるテロリストのカード。受胎告知の天使にも似た翼の折れたセルロイドのキューピッドが、抱えたバラの花束からそっと抜きだした一本の青バラは、ボードレールの美しい悪魔の墓碑銘を刻んだルナティックブルーのナジャという名の青いバラ。それはベンヤミンが愛したパウル・クレーの新しい天使(Angels novus)なのかもね。

2019/01/18

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