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とどめの一撃 (岩波文庫)

とどめの一撃 (岩波文庫)

とどめの一撃 (岩波文庫)

作家
ユルスナール
Marguerite Yourcenar
岩崎力
出版社
岩波書店
発売日
1995-08-18
ISBN
9784003259818
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とどめの一撃 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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ゆうこ

好きになった男性に、身を捧げようとするソフィー。そのソフィーの愛を、かたくなに拒むエリック。物語は、エリックひとり語りの回想で進みます。エリックの、ソフィーに対する辛辣極まりない思いに、彼の人間性を疑いそうになるも、静かに受け入れるわたしがいました。彼女へのとどめの一撃は、彼にとってもとどめの一撃。いや、それ以上ではなかったか。最終的には、形勢が逆転したように感じました。この作品、今のタイミングでよめてよかったかも。序文、素晴らしいです。後ろの解説を先によんでから本編をよむと、入り込めたのでおすすめです。

2016/02/04

藤月はな(灯れ松明の火)

自尊心の高い女は得てして自分に興味がなく、思想に凝り固まり、真っ向から自尊心と敵対する男に興味を持つ。そしてこの物語ではソフィーの弟であり、エリックの唯一、愛する人でもあったがために二人を結びつけたコンラートの存在感は全くないと言っても等しい。なぜならば、この物語は自尊心が互いに高かったために孤独にならざるを得なかった男女の一方通行の激情が棘のように抜けない執着へと変わる愛の復讐でもあるからだ。気高くも自分を貶めざるを得なかった自分を恥じながら執着するソフィーの姿は一旦、眼を背けたくなる女の性を描き出す。

2013/09/11

harass

ユルスナールの小説。愛憎劇を振り返る生き残った者の告白。回想として主人公のローモンが語る。癖があり読みにくいのだが、この独特の距離感のある文体は非常に面白い。語り手の猛烈な自責の念を端々ににじませている。解説にあるが表現などにリルケの影響があるのだという。「私のまえにあるのはもはや、筋肉を張りつめ、震えを抑えようとしてひきつっている顔にすぎなかった。彼女は一挙に軽業師の、あるいは、殉教者の美しさを見せた。少女は腰をひとひねりして、希望もなければ留保も問題もない愛という、ごく狭い舞台に跳び乗ったのだった。」

2014/10/28

kozy758

序が長く、わかりやすくもない。戦争という状況での事件が淡々と書かれる。暑い夏の日の夕方近くの独特の感じに似た刺激がある。かすかな郷愁が良かった。作者は日本に来たらしい。三島由紀夫などへの熱い思いがあったのだろう。

2019/07/23

いやしの本棚

ユルスナールの文体、やはり好きだ。「悲劇」を成り立たせるためには、時間的あるいは空間的に、読者から遠く隔たっている事柄を扱う必要がある、というのはよく分るけど、ユルスナールのこの文体こそ、読者を日常から遠いところへ連れ去ってくれる。この小説は一人称なので「他のどんな形式よりも読者の協力を必要とする」とユルスナールは言うけれど、これほど楽しい「協力」があるだろうか。ユルスナールの、何もあからさまには説明しない、抑制的で抽象的な文体から、登場人物に「内在する高貴さ」を読みとることは、読書の至福に違いない。

2015/06/13

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