KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

遠野物語・山の人生 (岩波文庫 青 138-1)

遠野物語・山の人生 (岩波文庫 青 138-1)

遠野物語・山の人生 (岩波文庫 青 138-1)

作家
柳田國男
出版社
岩波書店
発売日
1976-04-16
ISBN
9784003313817
amazonで購入する Kindle版を購入する

遠野物語・山の人生 (岩波文庫 青 138-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

HANA

再読。この二つの本は定期的に読みたくなる。内容は言わずと知れた岩手県遠野地方の伝説口碑を集めたものと、山人や神隠しといった山に関する伝説を集めたもの。両者ともその後柳田国男の主眼とするものが常民にシフトする中で取りこぼされた原石の塊であるが、個人的には現在大人気の山に関する怪談の先駆けみたいに読める。ミステリ、怪談と民俗学の相性がいいのは発生当初からだなあ。「山の人生」冒頭に置かれた二つの事件はやはり忘れ難い印象を残すし、「遠野物語」は何度か訪れた遠野の山河を思い出しながら懐かしく読む。やはり名著である。

2023/05/16

zirou1984

伝承文学の原石そのままの魅力を抜き出したような(しかし実際には意図的に漂白された)遠野物語も素晴らしいが、柳田自身の考察が前面に出ている山の人生が抜群に面白かった。日本各地の地方に伝わる神隠しの口頭伝承、それと同時に山の人(つまり、仙人だ)について語られた説話を結び付け、山の人とは日本民族が定住する前からこの地に住んでいた先住民の末裔ではないかと推測するその論はとても刺激的だ。「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い」という一言は、物語の起源に向き合い続けた者が持つ説得力がある。

2015/01/20

Miyoshi Hirotaka

遠野は明治のちょっと前まで太古だったようだ。文書に頼ったものだけが歴史ではなく、幾百年前から伝わってきたことには、深い人間的な意味がある。アイヌ語の言葉も随所に残っていて、アイヌと和人が共生していたことがわかる。河童、座敷わらし、天狗、雪女等を愚昧な迷信として一笑に付すのは簡単だが、都会人も別な意味での愚昧な迷信に支配されている。都市伝説はそのいい例だ。宮廷文学や都会の読書階級の文学は文字で作品を残すことを選んだが、彼らは口承を選択した。どこでそう判断をしたのか、今からでは調べようないが興味は尽きない。

2017/12/11

スプーン

(「遠野物語」のみレビュー)ルポルタージュ的な伝承談話集。目が白黒するような話が並んでいます。恐ろしく、不思議で残酷。えも知れぬ怖さあり、夜ひとりでは読まざりしなり。

2019/09/01

booklight

遠野物語のみ読了。口伝の里の神、家の神、山の神、天狗、山男、山女、蝦夷の跡、マヨイガ、魂の行方、小正月の行事など、風習から言い伝えまで色々なことが書かれている。事実と想像の間のグレーゾーンが色々な濃度で現れてくる。つい100年前まで生活の中で語られていたと思うと不思議な気持ちになるし、今でも同じような心持にほかのものを当てているような気もする。照らされていない心の襞の奥を見るような気持になった。学術的要素も強くメリハリ、読みやすさはあまり考慮されていない。原石を探すつもりで少しづつよんでちょうどよかった。

2019/04/07

感想・レビューをもっと見る