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自由と社会的抑圧 (岩波文庫)

自由と社会的抑圧 (岩波文庫)

自由と社会的抑圧 (岩波文庫)

作家
シモーヌ・ヴェイユ
冨原眞弓
出版社
岩波書店
発売日
2005-03-16
ISBN
9784003369012
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自由と社会的抑圧 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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ろくせい

1934年に発表された仏哲学思想家ヴェイユによる論考訳書。マルクス主義の批判的な論説。批判は「閉鎖的なモデルによる理論化」であり「社会を構成する人間能力」が画一とされており、経済基盤の根源である「自然を範疇としていない」とする。その上で「現実社会は広大な複雑系」であり、それは「人間の多様」であるが故で、自然から享受される「科学技術をかりて切り詰める」態度で「人間個人の思考と行動」から互いに共有できる一般意思を明確な目的にすべきと提案。現代と大きく違う社会状況を勘案しても、提案は批判の割に説得されなかった。

2019/09/21

A_kiriko

ヴェイユはマルクスのファンタジー、つまり観念的唯物論ともいえる生産性の神話について、またマルクスの教義における様々な矛盾点について批判を加えながら、資本主義社会という抑圧と隷属の人間蹂躙システム=強盗殺人の論理である社会機構を告発し続ける。ヴェイユの「限定/限界なき自由」とは、堕罪以前のアダムとエヴァの楽園の世界であり、科学的社会主義=共産主義は、最新型の夢想として実現されずに終焉を迎えた。自由への道は、吉本隆明の「自前の思想を屹立させるより他に、権力に対抗する権力の道などありうるはずがない」のだろうか。

2018/12/09

傘緑

「改革や革命をぶちあげて…専制や軍国主義にたいする防御的または攻撃的な行動に救いを期待する…隷従が自由な人間を作るなどとマルクスはなぜ信じえたのか、と問わざるをえない」 遺著『根をもつこと』へとつながる初期論文。マルクス・アウレリウスを引き合いにアレクサンドロスやカエサルを批判した後年の萌芽が、この的確な「プロレタリア独裁」批判に感じ取れる。「自由とはできる限り他者の奴隷にならないこと…一人一人の自然の権利の行使は…社会への隷属を除けば、際限がない(キニャール『アルブキウス』」私はこの言葉を彼女に贈りたい

2016/10/10

おおた

短いとはいえこんなに読まれているのに驚いた。ヴェイユの求めた生産力の発展による人間の解放は、残念ながら21世紀でも実現していない。それどころか個人は自由を求めているようで、その実、権力からの束縛を望んでいるように見える。ヴェイユも人間が部品となる官僚組織で個人としての思考を放棄することについて記しているが、個人の幸福が約束された未来については明るい見通しを立てていない。いかなる技術も「たえず更新し最適化する労苦」から逃れられないというのは、Windows10では終わらず11まで続く現在を見通していたかも?

2021/07/04

evifrei

ヴェイユの労働の哲学の序章にあたるというべき論考集。機械的近代社会の構造により、抑圧され歯車の一つとなった労働者社会における自由の構想を検討する。ヴェイユによる真に自由な人間とは、意識的かつ有意義な行為によって自己の生存条件を変革し、外的世界に確かな痕跡を刻み得る労働者を意味する。『中途半端に』即物的なマルクス主義批判を展開しつつ、資本家が労働者を搾取するのは、享受と浪費への資本家の欲望ではなく競合する他企業を凌ぐ速度での自企業の拡大を指向する必然性である事を指摘する。現代資本主義にも妥当するように思う。

2020/07/07

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