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歌行燈 (岩波文庫)

歌行燈 (岩波文庫)

歌行燈 (岩波文庫)

作家
泉鏡花
出版社
岩波書店
発売日
2017-06-17
ISBN
9784003600283
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歌行燈 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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syaori

時は霜月十日あまり。星の煌めく月の夜。語られるのは、旅の老人2人と彼らに呼ばれた気弱な芸妓、その座敷の下の小路を流す三味線弾きの物語。それぞれの声が、家々の軒の行燈に照らされた夜に響き、気付けば『膝栗毛』の、はぐれた喜多八を恋う弥次郎兵衛になぞらえられる哀切と、若気で才気を誇った因果な出来事、その悔恨と身の上の切なさが凛々と響く謡いに一つになる。後悔も悲しみも苦しみも我が子のために命を賭ける母を謡う舞に収斂し昇華する、作者の凄絶で幻想的な筆を堪能しました。人の悲しさや苦渋から何と美しいものが生れることか。

2020/03/23

たぬ

☆4 大量の注釈に引きずられて内容が曖昧だったのでざっと本文のみ読み直し。「女3人も囲いやがって許せねえ」が本心よね? んでお三重さんが過去にされていたことはセクハラでもパワハラでもなく拷問ですよ…下手すりゃ命を落としますよ…。使い物にならないなら掃除婦なり洗濯女なり。え、だめ? 能楽や伊勢地方の地理に明るければもっと楽しめたんだろうな。

2021/03/18

いの

悔いる思いにみる舞は感に堪えない舞となる。凄みのなかに哀しみと喜びを感じるラストです。ぴたりと合う舞扇!あ~すごい(こんな言葉でしか表現できない自分に残念…)。俳句のように計算されている文章はキレもよくて思わず流れるように読んでしまいそうになります。息を呑むこと何度あったかゾクゾクしました。初めて接する泉鏡花です。私には難しい場面もありました。言葉に惑わされて場面の切り替えについていけず戸惑うこと数回。何より洒落がわかればもっと堪能できるだろうに。もっと読み込んで味わいたい作品です。

2019/09/07

零水亭

「高野聖」「眉かくしの霊」などを読んだ時にも感じましたが、この小説に限らず、泉鏡花氏の小説って、文体が美しいだけでなく、弱者や幽界の者に対する共感、慈悲に溢れている気がします。 逆境にあるときに読みたくなります。

2020/08/15

彩菜

膝栗毛の軽妙な語りに誘われ物語に入ってみれば、そこは霜月初夜の桑名の停車場なのでした。旅の二人連れと美声の門付、それぞれ別の場所で語られる話は、按摩の笛を背景に、互いに少しずつ手繰られてゆくのです。両者を繋ぐのは少女のような芸妓の舞。一方に真っ直ぐ芸を修めた輝かしいもの、一方にあるきっかけで歪んでしまった暗いもの、その両者を彼女の舞は繋ぐのです。明と暗、そのあわいに浮かぶ彼女の舞はなんと美しいのでしょう。その陰影の織り成す「あや」とも見えるのです。見つめていたいのです、その美しさを。見つめ続けていたい。

2019/06/08

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