KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

女中たち バルコン (岩波文庫)

女中たち バルコン (岩波文庫)

女中たち バルコン (岩波文庫)

作家
ジャン・ジュネ
渡辺 守章
出版社
岩波書店
発売日
2010-12-17
ISBN
9784003751107
amazonで購入する

女中たち バルコン (岩波文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

優希

退廃と刹那の美を描くジュネ。その戯曲は虚構が侵食していくようで鳥肌が立ちました。演じられた戯曲が本質に変わる瞬間が全てを曖昧にしているように感じます。現実と演戯が交錯する世界に堕ちる瞬間の美しさはやはりジュネならではですね。

2017/02/24

藤月はな(灯れ松明の火)

退廃に潜む信念と刹那の美を描くジャン・ジュネによる、客観視による同化を求められる虚構がやがて現実を侵食し、同化してしまった現実と入れ替わっていく戯曲。その美学は「女中たち」の女中の姉妹の配役に「あばずれではなく、美人であってはならない。演じている内に次第次第に美しさを増し、最後の瞬間に至るようでなければ」という所に現れているのだから愛を感じる。そして「女中たち」の奥さまは確かに毒殺されてもおかしくないと思わされるほどの美しい善人だからこそ、腹が立つ人物だからこそ、女中たちの存在感が際立つ役目を果たしている

2015/09/16

壱萬弐仟縁

1968年初出。解題によると、「ジュネにとって、戯曲とは、自分自身の主観性に対して距離を取るための『エクリチュール戦略』として、改めてその姿を現した」(428ページ エクリチュールは仏語で文体=広辞苑)。自己相対化の手段は文学として必要だが、地域研究でも相対化なくして当事者となってしまう難しさを同時に感じる。訳注に、世阿弥の『風姿花伝』が出てくるのは意外(317ページ)。日仏比較文学論という分野があれば、興味深い学術領域だと思える。限界人生を限界集落で演じる文学があってもいいとさっきの本と絡めればいえる。

2013/02/09

ラウリスタ~

サルトルの戯曲を読んだ今ならこれを理解できる。テーマは「芝居」。劇という芝居をするのが当然の空間で、(芝居とは認識されていない)人生を芝居する。バルコンはちょっと分かりにくい面もあったが、女中たちは普通におもしろい。ごっこ遊び=芝居を始めるときの役割の転換の瞬間の微妙な空気がすばらしい。バルコンもそうだけど、もしDVDとかがあるのならどのように上演されたのかを見てみることがいい勉強になりそう。今月は劇に目覚めた月だった。

2011/01/23

HANA

戯曲二編を収録。どちらも仮想が現実を侵犯してくる話に思えた。特にバルコンの司教や将軍を写真に撮るところと、ラストの夜が明けるシーンは特にそれが顕著に表れている。こういう権威も地位も何もなくなるドタバタのラストは結構好きである。

2011/01/17

感想・レビューをもっと見る