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子ども(上) (岩波文庫)

子ども(上) (岩波文庫)

子ども(上) (岩波文庫)

作家
ジュール・ヴァレス
朝比奈弘治
出版社
岩波書店
発売日
2012-05-17
ISBN
9784003751268
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子ども(上) (岩波文庫) / 感想・レビュー

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のっち♬

「教師にいじめられたり、親に殴られたりした、すべての者たちに、わたしはこの本を捧げる」—刻苦勉励型な教師の父と短気で頑固な母親による過酷な躾と虐待に喘ぐ子どもの視点に立った自伝的小説。自尊心と屈辱感が絡み合った母親の言動や、父親の監督下での学校生活、本の言葉の力への感動などは著者の体験が色濃い。物語は悲劇一辺倒ではなく、何から何まで新鮮に映る少年を通して生きる喜びも力強く描かれている。激情に駆られたり、冷ややかに嘲笑したりと語り口の劇的な変化も特徴的。兎や脱走計画の挿話ではオチまでつけて読者を笑いへ誘う。

2021/09/14

ラウリスタ~

やっべおもろい。これ相当に面白い小説。「判断力が乏しい」子供が、愚かな大人たちの愚かな行動を、イノセントな眼で叙述していく。ほんとに子供であるときの著者自身が語っているような妙なリアリズム。児童文学って面白かったな、って大人が思い出すような小説。悲惨な現実を大人が語ったら悲惨でしかないが、無邪気な子どもに語らせることで、とんでもない爆笑ものの楽しい小説に仕上がる。もちろん、当時の文脈としては告発といった役割もあったろうが、時代に関係ない面白さを獲得している。

2012/09/10

壱萬弐仟縁

1879年初出。「悲劇」のところでは「失業」の項目。「突然、生活が一変する」(292ページ)。学校生活、躾。どうも体罰を受けていたような描写。言葉でわからなければ・・・ということだろうが、現代日本の教育問題にもつながっているおかしな社会事象。自伝的作品のようなので、ほぼ現実から創作したんだろうか。厳格な父に、短気な母の下で育つと、どんな子どもになるのか。大人になって、反発するに違いない。仮に、介護となれば、あんたなんか・・・とか思うのは自然ではないか。愛情を受けるべきときに叱られてばかりでは、反発するナ。

2013/01/30

80000木

虐待される子どもの視点。今と昔では虐待の捉え方が違うんだろうけど。子どもにしてみればその時の自分の経験が他と比較しようもなく全てで、親は絶対的に愛してくれる存在だと信じていることを忘れちゃいかんのだ。絶対忘れちゃいかんのだ。ジャックに対する母親の仕打や折檻は悲しいことだけれども、愛情はところどころで感じられるし、ジャックの強さと明るさで、語れる経験談になっている。腹立たしいのはむしろ父親。

2019/01/29

Susumu Kobayashi

著者の自伝的長編『ジャック・ヴァントラース』三部作の第一部である。母親は息子ジャックを厳しく育てることをよしとし、教師である父親は息子については妻に任せきりである。ジャック少年にとって、母親は自分の嫌がることばかりやる存在だった。普段は抑圧された生活をしているが、夏休みに叔父の家に泊まりに行った時などには、自然の中での生活に喜びを見いだし、農夫や鍛冶屋といった職業に就くのも悪くはないと考える。だが、それは少年の「階級」では許されないことだった。父の浮気事件があって、少年は今度は父親から虐待を受ける。

2013/05/13

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