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家父長制と資本制: マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫 学術 216)

家父長制と資本制: マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫 学術 216)

家父長制と資本制: マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫 学術 216)

作家
上野千鶴子
出版社
岩波書店
発売日
2009-05-15
ISBN
9784006002169
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家父長制と資本制: マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫 学術 216) / 感想・レビュー

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おたま

1990年に発行された単行本を読んだ。しかし、今でもその内容は古びてはいない。そして、凄まじい本でもある。これまでフェミニズムが問題にしてきたことを総括し、それに対して根底的な理論的根拠を与えている。とともに、マルクス主義がこれまで見落として来た欠落部分を理論的に明確化し、「資本制」とともに「家父長制」(とりあえず「男性が女性を支配することを可能にする社会的権力関係の総体」と定義する)こそが女性を支配する、物質的基盤をもったものとして見いだされる。これによって女性差別や家事労働の問題が解明されていく。

2023/11/03

がらくたどん

しばらく前から「家庭生活」とはどんな生活なのだろうとブツブツと考えている。自分が完全リタイアしたら我が家は直接的な労働力再生産の任を解かれたケアベースとなる。見事に本書の資本制的社会構造図で言うところの非「労働力資源」となった老人・病人・障碍者による私的集団なのだ。立ち位置がスッキリしたと思いきや。おそらく自分は「ケア労働」を購入する立場で家庭生活をマネジメントしていくだろう。だとすると、である。付論以下で提示されたケア労働の価格適性や従事者の選択肢の問題の渦の中に「当事者」として放り込まれてしまった。

2022/02/14

Tui

おらおらで〜の著書若竹氏と上野氏との対談で知った。マルクス読んだことないし前半部はほぼお手上げ状態。でも後半部、すごい。家事、育児、介護など無償の労働に女性ばかりが従事している、そしてそれを暗に良しとする形で国政が行われている事実。在宅介護に関わる仕事をしている身からも、男性の不在または希薄さを以前から感じてはいたが、在宅だ在宅だと謳う今の医療政策は、有償サービス(=入院)から無償サービス(=現実ほぼ女性が担う介護)へ負担を押し付けてるだけじゃん、と思い知った。気付くの遅いよと女性からは叱られそうだが。

2018/07/20

nbhd

最近まで、妻が育児休暇で仕事から1年間離れていたこともあり、内容は難しくてわからないところもあったけど、研究テーマについては身に沁みた、痛感した。日々、夫=労働力商品を会社に送り出し、家にいる妻は「商品化されない労働」をおこない、実家からは再生産!を求められるこの現実。マルクス大先生は、市場の外部にある家族には無頓着だったので、家族についても唯物論で分析しましょう!っていうのがマルクス主義フェミニズムだと理解した。そういえば、マルクスは資本論執筆のために家庭を犠牲にしていて、この本の内容と射影にある。

2021/04/20

しゅん

「家父長制」と「資本制(および資本主義)」はマジックワードのまま仮想敵になっている気がずっとしている。その観点から本書を読むと、「家父長制」の定義は何度も試みようとしてその度にズレていっていて、やはり言葉の更新が必要ではないかという思いを新たにした。かたや「資本制」は、人間が生きるための物質的基盤を資本持ちがコントロールする制度、という点が明確になっており、資本的不自由さこそが女性の苦難に結びついていることを示す議論はクリア。実は女性についてより移民問題のジレンマについて考えが膨らんだ。

2023/07/07

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