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生と死の接点 (岩波現代文庫 学術 222 〈心理療法〉コレクション 3)

生と死の接点 (岩波現代文庫 学術 222 〈心理療法〉コレクション 3)

生と死の接点 (岩波現代文庫 学術 222 〈心理療法〉コレクション 3)

作家
河合隼雄
河合俊雄
出版社
岩波書店
発売日
2009-09-16
ISBN
9784006002220
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生と死の接点 (岩波現代文庫 学術 222 〈心理療法〉コレクション 3) / 感想・レビュー

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ばんだねいっぺい

自分にとっては論語のような河合隼雄先生の本。夢に出てくるひとりひとりは、全部、自分だったりする。

2023/04/25

Uncle.Tom

河合隼雄が語る死生観について知っておくと面白いかもしれない程度で読み始ましたが、想像以上に魅力的な内容でびっくりしました。基本的には臨床心理学が基盤に据えられてることはもちろんですが、そこから心理学と宗教学の結びつきが感じられ興味深かったです。特に、イニシエーションという通過儀礼は現代では忘れられがちなものです。が、それは人間としての成長過程の区切りとして必要不可欠なもの。ほぼ全ての宗教に見受けられるのも頷けます。また、人生全体を包括的に捉えるライフサイクルの観点からも通過儀礼の意義を感じさせられます。

2019/10/15

Uncle.Tom

世界中に存在する宗教に通過儀礼が見られることから分かるように、人には何らかの意義深い節目が必要です。人はその節目において象徴的に一度死に、そして新たな存在として再生します。その過程は全く個人に根差すもので、周囲からすれば病的にも見えるかもしれません。しかし、これは絶対的に人に必要な要素なんですね。現代ではやたらと社会性、社交性が重視されがちです。それために、ひきこもりやニートを攻撃しすぎな気がします。が、本書を通読するとそれがいかに危うい軽率な言動であるかが分かります。是非ともニートを肯定する社会に!

2019/11/02

roughfractus02

古今東西の昔話には似たパターンが多く、物語が異界への旅を語り、生を死後の世界に向けた準備期間と捉え、老いを死後へ向けた成熟の過程とする価値観を作っていたことがわかる。が、死を終点と見做す科学主義の近代では老いは衰退の過程となった。物語にユングの元型を見出す著者は、神経症を幼児体験を原因とした因果解釈する科学主義的心理学に対し、未来に向かう準備と捉えるエリクソンのライフサイクル理論を援用し、物語的元型による生の価値を再発見する。一方、その表現は男性原理の「完成」と女性原理の「完全」の度合いで変わるとされる。

2022/12/04

らい

人間は一面的にこれで大丈夫というふうにして自我を強固にしていくと、切り捨てたものたちが集積して、何か症状という形をとって現れてくるようにできているのかもしれない。人生の前半にはそれも大切なことだけど、どんどん矛盾した要素を包んでいくような全体性にも着目すべきだと老若男女の型を通して進んでいく論は相変わらずの安定感だと思った。イニシエーションや境界例など、その時代や文化の移り変わりと敏感に反応していて、どれも考えさせられる内容だった。読んでみたい関連本も多かったな。行き詰まる度にこの人を読んでいる気がする。

2021/07/07

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