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昔話と現代〈〈物語と日本人の心〉コレクションV〉 (岩波現代文庫)

昔話と現代〈〈物語と日本人の心〉コレクションV〉 (岩波現代文庫)

昔話と現代〈〈物語と日本人の心〉コレクションV〉 (岩波現代文庫)

作家
河合隼雄
河合俊雄
出版社
岩波書店
発売日
2017-02-17
ISBN
9784006003487
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昔話と現代〈〈物語と日本人の心〉コレクションV〉 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー

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nobi

「神話と日本人の心」(同著者)が深い森を彷徨ってその成り立ちを探り当ててゆくとしたら、「昔話と現代」は投稿、講演のアンソロジーで繰り返される話もあって、馴染みの畑地を少し早足で歩く感じ。とは言え“昔話“にしてはいきなり“…『殺害』について”なんて章題が来る。なるほど昔話には救われない話が思いの外多いようだし、クライアントの暗い夢を読み解こうとする心理療法家の観点としては当然か。いま少し掘り下げあればと思いながらも「人類に共通の普遍的無意識」、物語りは本来語り手抜きにしては考えられない、の指摘は新鮮だった。

2017/07/22

roughfractus02

殺害に始まり、村上春樹『海辺のカフカ』論で終わる本書は、講演を主とした編成である。一方、昔話の残酷さや悲しみを指摘する著者は、生きる教訓という昔話の役割の中にユングの普遍的無意識にあるグレートマザー、影、トリックスター、アニマ、アニムスの概念を重ねる。「片側人間」は意識の側に立って無意識と対立する近代以後の人間と重なり、両者のバランスを崩して悲劇に至ると解釈される。『海辺のカフカ』の人物は心と「物」との関係を意識と無意識の関係としてバランスよく描かれているとし、日本の昔話の調和の美と並んで論じられている。

2022/12/18

MO

河合先生が日本と欧州の昔話を本に心理に切り込む。「日本の昔話」を併読していたので理解に深みが出た。特に伝説はその土地に話が関係しているもので、昔話はヒトの原型にあるものが流れて時代や人々にあった形になると言われて、なるほどと思った。あと、伝説は民族や国家をまとめる為に必要な物語というのも頷いた。村上春樹の海辺のカフカも解説していてナルホドと思ったよ。昔、この本を読んで、つまんねーなー気取りやがって、って思ってから春樹は一冊も読んでないけど、かなり考えて書いてるのね、ごめんちゃい。機会あったら春樹も読みます

2021/11/11

ミコマユ

グリム童話や、日本の昔話を元に、現代の人間の心の課題について書かれている。東西の昔話に見られる男性性と女性性、異類婚姻譚、昔話の残酷性など、興味深いコンテンツが満載。それにしても、なぜに日本の昔話は、ハッピーエンドにこだわらないのだろうか。紹介されていた「月見草の嫁」って話なんて、あまりに悲しくて、うっかり涙ぐんでしまった。遠野物語も、不幸な話多いしね…。日本人、悲しい話が好きなのかな。それが美術とか文化を進めてきたってことなのかな。

2017/04/09

はちめ

シリーズ5冊目を読み漏れていることに気づいたので久しぶりに河合隼雄の著作を読んだ。日本の昔話と西洋の昔話の違いの指摘とそのことによる日本人の精神構造の分析が試みられている。ただし指摘は断定的ではなく敢えて仮説に留められている。もう少し断定的なもの言いにしてくれた方が理解がしやすいとも思う。本書の最後は何故か村上春樹の「海辺のカフカ」の感想分析が掲載されているが、講演の記録のようだが講演を聞いた人もビックリしたんじゃないだろうか。☆☆☆★

2018/07/28

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