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新版 漱石論集成 (岩波現代文庫)

新版 漱石論集成 (岩波現代文庫)

新版 漱石論集成 (岩波現代文庫)

作家
柄谷行人
出版社
岩波書店
発売日
2017-11-17
ISBN
9784006003708
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新版 漱石論集成 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー

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ころこ

後半の方が読み易い。『漱石の多様性』は講演で『こころ』のテーマが欲望の三角関係による遅れるという主張も明快だ。それに比べて群像新人賞を受賞した『意識と自然』は難解だ。漱石の長編小説が、作品上の倫理的な問題と、それとは対応しない作者の内的で存在論的な問題が交錯し合い衝突し、分裂する様を論じている。それはハムレットが破綻しているのと同類の破綻を来している。この様な理解し難いテーマに比べれば、新潮文庫の解説として書かれた文章は短く、どれも印象に残る書き方をしている。その直前にある『漱石の作品世界』はセミナー形式

2023/10/26

踊る猫

柄谷行人は面白い。いい意味でも悪い意味でも。不器用な中で一生懸命分析している、という凄み(?)があるのだ。カントやフロイトと持ち出すネタはいつも通りで、奇を衒った切り口からではなくオーソドックスな視点から分析を試みる。しかしそれは自分の問題系を疑って自己破壊的に分析するのではなく、逆だ。むしろ分析によって自分に言い聞かせをしているかのような痛さがある。必死さが透けて見える、というかな。斎藤環の卓抜な表現に倣って言えば、漱石を読みたくさせるというより柄谷の他の作品を読みたくさせる、自分探しの分析がここにある

2020/06/26

踊る猫

今回読み返してみて、どうやら柄谷のレトリックにも慣れてきたようで(まだ難解に思いはしたけれど)楽しむことができた。「意識」「内面」といった自分自身に属する(?)ことがらと、「他者」「外部」「物自体」といったこの世界に広がることがら。双方の関係の中で、ほかでもないこのぼく自身もまたその自明性を揺るがされてしまう……これはもちろん「私見」「邪推」の域を出ない読みになるが、ぼくにとって柄谷を読むことはそのようにしてテクストの中で「自分探し」を行うことである。ウィトゲンシュタインや安吾にも似た「哲学的」な書に映る

2023/09/10

さえきかずひこ

1960年代末から1970年代末に書かれた「漱石試論1」が漱石作品の内在的分析を行っていてその確かさはともかく圧倒的に面白く、読ませる。それは当時の筆者が漱石の小説に心の奥底まで魅了され、溌剌に論じているからだ。「漱石試論3」に収められた「漱石の作品世界」は1997年に刊行された講演録であり、他の論考を読むうえで助けになる。著者は現代では哲学や思想について込み入ったことを論じている思想家と見なされているが、その根本にはカント的な批判(批評)の精神があったことが、巻末の「漱石とカント」(95年)から窺える。

2019/03/17

masasamm

難しくて理解できないところもあるのですが、するどい見解に驚かされ刺激を受けることろも多く、すぐにでもじっくりと読み返したくなる本でした。読み返しながら整理しなおします。

2023/08/31

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