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李香蘭と原節子 (岩波現代文庫)

李香蘭と原節子 (岩波現代文庫)

李香蘭と原節子 (岩波現代文庫)

作家
四方田犬彦
出版社
岩波書店
発売日
2011-12-17
ISBN
9784006021948
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李香蘭と原節子 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー

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へくとぱすかる

山口淑子さんの自伝を読んだ勢いで手に取った。実は映画を1編も見たことがないのだが、この本では、同い年のふたりの女優の対照的な、それも巷で語られる「神話」とは逆の方向の実像を明らかにしている。過ぎた時代を、戦争という視点以上に、ジェンダーの問題として論じられてみると、日本社会が、実は何も変化していないのではないのか、と疑問を抱かせるのに十分である。原著の発売から14年。ここしばらくの風潮を考えるとき、果たしてここに述べられたような問題を、私たちが考え続けていけるのかどうか、少し心配ではある。

2014/10/12

ナハチガル

お二人とも何となく知っていて手に取ったものの、映画にはほとんど興味がなく、次々とあげられる作品名や監督、作家、俳優など固有名詞の羅列や作品解説を読むのがしんどかったが、戦前と戦後、オリエンタリズム、侵略戦争、大衆消費社会などの文脈で読むと、スリリングで発見に満ちた読み物だった。辛辣ではないが切れ味鋭く、批判を恐れず感じたことを書き、センチメンタルではないが傷ついた人々に寄り添うかのような著者の姿勢が好ましい。エピローグにぞくっとした。うがちすぎだろうか。A。

2022/04/22

koji

四方田犬彦さんの著作は4冊目。山口淑子さん追悼の中で紹介された1冊として手に取りました。原節子さんとの対比に関心があったからです。同じ1920年生まれですが、とても対照的な存在です。ただ映画の視点では、アンバランス感は否めません。片や、オールタイムで女優1位に選ばれる大女優。一方、映画より舞台、TVキャスター、政治家として高名な活動家(適当な肩書きが浮かびません)。しかし不思議に著者の手にかかると、それを止揚する昭和の日本人論に思い至ります。私は李香蘭の意思の強さ、勤勉性に感銘を受けました。お勧めします。

2015/01/18

かふ

日本を代表する二人の女優が演じてきた女性像を映画を通して眺めて観る。日本映画史の中で二人の対照的な女優を植民地主義とジェンダーの観点から語っている。原節子の与えたイメージ、聖女、不変の人、教育者やその家族、上流。李香蘭、オリエンタリズム、大陸(満州)三部作における調教される女性性。チャイナ服(反抗)から着物(従順)。変化する女。李香蘭が日本の映画で演じてきた変化する女をシャーリー・ヤマグチとしてハリウッドで求められた。香港での活躍の意味するもの。香港の置かれた立場が李香蘭との親近感なのか。

2012/01/22

Jiemon

李香蘭(山口淑子)の人生が凄すぎる。恥かしながら今まで世代の異なる山東昭子とごっちゃになっていた。戦前戦中戦後を混乱の中で生ききり、しかも中国では親日中国人との触れ込みで活動し、戦後死刑を免れ日本に帰国、さらに米国、香港へと女優として活躍の舞台を移した後、一旦芸能界を引退するが、再びTV司会者として表舞台に立つと、参議委員へと転身し、中国、パレスチナ等の外交問題について取り組んでいたとは。その勤勉さには脱帽。2014年に亡くなっているが、You tubeでは往年の美しい李香蘭の映像が彼女の歌声と共に蘇る。

2016/12/21

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