青い花 (岩波現代文庫)
青い花 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
kentaro mori
ベケットも驚きの大傑作。とてつもない諦念と怒りと悼み。わたしはあるいている。ただあるいている。
2020/11/22
くり
これはある一晩の物語なのか
2020/12/03
Y.T
「どうということもない」のような表現が何回か出てきたけれど、自分のことを「だれでもないわたし」とよぶ主人公は、ほんとうは、不条理で無慈悲で潜在的な暴力に満ちたこの世界に対して恨みの声を上げたいのだと思う。しかし、その主人公も「これこそが正しい、あるべき世界」というものを示すことができない。目指すべき場所もなく歩き続ける主人公のよって立つところは、ただ歩き続ける存在としてのあやふやな自分しかないようだった。
2021/01/09
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未来の戦争で難民となった男が、一人延々と続く線路を歩き続ける。過去と未来、幻想と現実を往還しながら・・・。歴史、世相を引き合いに出し、男の哲学的思索は人間の正気/狂気、正常/異常の境界線を切り崩す。「異常」と見なされ精神病院に収容されるような人々だけが「狂気」を孕み、震災後「絆」に熱狂した「正常」な我々は「狂気」を孕んではいなかった・・・。本当にそうだろうか?ページを繰るごとに自らの足場が崩れていくような、幻惑的な、さらに言えば「麻薬」的な小説。
2020/12/21
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