KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

青い花 (岩波現代文庫 文芸 329)

青い花 (岩波現代文庫 文芸 329)

青い花 (岩波現代文庫 文芸 329)

作家
辺見庸
出版社
岩波書店
発売日
2020-11-17
ISBN
9784006023294
amazonで購入する

青い花 (岩波現代文庫 文芸 329) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

KAZOO

独白のような感じの文章が延々と続きます。むかしの映画で見たような感じがしました。世界の終りのような話ですが結構読むのに疲れてしまいました。文章が改行もなしに続いているので最近の本を読みなれている私には目も疲れました。

2021/08/22

Vakira

近未来のSFであった。思い出したのはマッカーシーの「ザ・ロード」。「ザ・ロード」では主人公の語りはない。第三者が物語る訳だがこれは一人称。私の感情と思考表現でしかない。私は歩いている。線路上を歩いている。枕木の上を歩いている。存在する感情は喪失、虚無、空虚。そして私の思考が始まる。個人的脳内世界。私の家族はみんな死んだ。妻も子も親も。生きているのは私だけ。大戦前の回想がランダムに。回想すればその時の感情が蘇る。人付き合いのいい義兄。善人ぶりが鼻に付く。多分死んでしまった。記憶で生き残るは嫌悪だ。

2021/05/27

yumiha

夫の本棚から。次々とイメージが飛び込んで言葉が後追いするので、小説で詩を試みておられるのか?とまず思った。読み進めると徐々に廃線の線路を歩く男に何があって何を思っているのかが朧気に見え始めた。3・11後の戦争と震災が続いた近未来の避難民の男は、ポラノンの薬効が切れるに従って、この世の虚妄を見抜いていく。ポラノンが時代の要請とともに姿も名前も変えてゆく様は怖い。また、正気と狂気については、境のないものと捉えて「リバーシブル」とのこと。私はグラデーションだと思った。濃淡が人それぞれの場合にあるから。

踊る猫

感じるはずのない要素を感じる。味や匂い、音や幻想的な風景。支離滅裂というか、他者と対峙しないという意味でうわ言あるいは呪詛にも似たモノローグが延々と展開されていくというのに、この語りは確かに「読ませて考えさせる」と思った……いや、モノローグではないのかもしれない。確かに会話が展開されるわけではないが、その独語を煮詰めていくと1人の人間の中にこんなにも雑多・多種の思念が渦巻いていることに気付かされる。ならばこの本は、そこまで自己を内省的・自壊的に見つめて狂気を際立たせ、テクストそのものを歪める実験小説なのか

2023/08/20

魚53

時間もストーリーも小説にあるはずの要素がない。読者は線路上を歩く男と共にさまざまな景色を見て行くのだが、それがどこのことなのか、何のことなのかわからない。次々に脈絡もなく繰り出されるように見える断片的な物語。記憶と風景と過去と未来と現実と非現実、あの世とこの世と、私と他者と全ての垣根が壊された混沌のようでいて、そうでもない。言葉の面白さに導かれて、読まされて、男と一緒に歩いて行く。なんと言って良いのかわからない。まとめることができない。要約なんてくそくらえ。何もかもわかったふりするな。自分の足で歩け。

2023/01/15

感想・レビューをもっと見る