犯罪と精神医療: クライシス・コールに応えたか (岩波現代文庫 社会 51)
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犯罪と精神医療: クライシス・コールに応えたか (岩波現代文庫 社会 51) / 感想・レビュー
Momoko Nishikawa
野田先生のかなり初期の頃の著作で、日航機墜落事故の前1982年の本。改題されて岩波現代文庫に入っていた。 優生保護法など変わっているところもあるが、変わっていないことが多く驚く。 精神科患者の犯罪が突発的なものではなく、病状の悪化に対しての患者なりの防衛という側面がある。患者の病状を的確に把握する事が精神科医の専門性と思っていたが、そうでもないことを知って愕然とする。
2017/09/07
cochon_voyage
本文より抜粋―『私は精神分裂病(原文)を自我の病と思っている。幼少時から愛情や評価に敏感で、傷つきやすい素因の持ち主が、今日私たちが生きる社会の、きびしく自他を区別し、社会的価値によって差別される文化に疎外され、自閉的思考の世界にはまってしまった状態だと思う。親の遺伝情報をもらわずに生まれる子どもはいないわけで、感情的に傷つきやすい素因は、確かに親から遺伝されたものであろう。しかしその素因を、社会的に意味あるものにするか、発病に追い込むかは、環境であり、社会であり、その人の生活の歴史にほかならない』
2015/06/19
N.Seshita
医療というものが人々の生活に根ざした、すなわち社会と密接に関係するものだということがひたすらに述べられています。一言でいうなら、「精神科」を我々がどう考えてるか?ということでしょうか。
2013/05/14
釈聴音
30年前に書かれたこの本から現状がほとんど進歩していないのではないか。むしろ、社会が「心理学化」したことが俗流心理学を横行させ、かえって時代を逆行させてはいないだろうか。
2012/06/14
sabato
ものすごく徹底した現地調査と、インタビューを元に書かれた本。読んでいて、精神保健福祉の現場にいるものとして、自分が情けなくなってくる。。とにかっく圧倒の1冊。
2009/05/03
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