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大人になることのむずかしさ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 5)

大人になることのむずかしさ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 5)

大人になることのむずかしさ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 5)

作家
河合隼雄
河合俊雄
出版社
岩波書店
発売日
2014-02-15
ISBN
9784006032586
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大人になることのむずかしさ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 5) / 感想・レビュー

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南北

子供から大人になるにはかつてはその社会に決まったイニシエーション儀式を通過することで大人になったが、近代社会以降、固定したイニシエーション儀式がなくなったため、大人になることが難しくなった。日本ではこれに加えて西洋的な教育の影響で「頭」では子供に西洋風な接し方をしているが、実際の行動は日本風になっているなどさらにややこしくなっている。「安易に善悪の判断をせず、それらを相対化する眼差しを身につけること」を大人の条件とするなら本書を読む価値もあると思う。

2022/01/04

きいち

大人の定義が素敵、元気になる。◇「個々の人間が個々に大人になるより仕方」なくて、未来が曖昧で不確定ないま(先生、83年でもうVUCAの時代と喝破したはったのね)既成の世界観もとに安易に白黒つけることなく、(問題の)なかにあえて身を置き、結果に責任を負うことを決意する、それが大人だと。責任をとるのではなく、あくまで「決意」というのがミソ。だって、結果確定させて責任とってしまったら、判断基準自体が変わり続ける状況に対し「枠そのものの変化の過程に自ら参画」できないもの。意味づけ、関係づけを続けるプロセスが第一。

2018/10/21

テツ

現代日本には大人になるための明確な通過儀礼は存在せず、知らないうちに大人というラベリングをされて社会に放り出されていく。第二次性徴や職につき一人で生きていくみたいなイベントはあるけれど、それを経験することで必ず大人になる訳ではないしなあ。自分自身を振り返っても中身の根源的な部分って幼少期からさほど変わってはいない。それでも一応は大人として社会の中で生きることは許されている。ならば大人になるための条件って、外部から期待されるホモサピエンスの成獣としての立ち居振る舞いを演技できるという一点だけなのではないか。

2024/01/30

ほし

現代は、どうすれば大人になれるのか、そのモデルが不在の時代となっている。そのため青年らは悩み、つまずきを経て成長していく。彼らに対して親や支援者が出来ることは、見守ること、行動の表面でなく意味を探ること、時として対決し、世界との分離と再生を促すこと…。このような筆者の主張を読むことで、ぼくと息子との関係性のあり方について考えさせられました。これまでは良い関係性を築くこと、安心感を与えることを重視し、そしてぼくの性格も相まって相当甘い親だったと思うのですが、そろそろそれだけでは駄目な時にきているのかなと。

2019/05/20

roughfractus02

他の本で著者は悪の複雑さを強調した。本書は、性急に悪と価値づける傾向が自ら判断を下す大人になることを困難にする点を、様々な臨床例で考察する。イニシエーションがあった古代では子どもと大人の区別は外的に示せた。が、この儀礼を排した近代は両者の区別を内面化する一方、成長過程では自立と依存、男性と女性、孤独と連帯、日本と西洋などの世界を「対極」として捉える見方が増大する。その際、これら対極に善悪を割り振るのは子ども自身の試行錯誤の経験の過程であり、他者の価値観を導入すると自己自身の判断が困難を来す、と著者はいう。

2022/12/12

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