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ふくわらい

ふくわらい

ふくわらい

作家
西加奈子
出版社
朝日新聞出版
発売日
2012-08-07
ISBN
9784022509987
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「ふくわらい」のおすすめレビュー

「物語としてしか命を持ちえない作品」――エキセントリックな女性編集者が「恋」と「世界」を知る。読み手を選ぶ異色作!? 西加奈子『ふくわらい』

『ふくわらい』(西加奈子/朝日新聞出版社)

 暗闇での「福笑い」を唯一の趣味としている一風変わった女性・鳴木戸定(なるきど・さだ)が「世界に恋する」までを描いた小説『ふくわらい』(西加奈子/朝日新聞出版社)。

 本作は、第1回「河合隼雄物語賞」に選ばれている。その賞の受賞作を決めるにおいて、選者である小説家・上橋菜穂子さんは本作を「物語としてしか命を持ちえない作品」と評した。本作を説明するにあたり、「『言葉以外のイメージ』で表現しなければ伝えられない、どう伝えてもこぼれてしまうものが残る」と。

 最初に本の内容ではなく、選評をご紹介したのは、まさしく本作のことを説明するのが難しかったからだ。そもそも、ジャンルも一言では言い表せない。ある意味「恋愛もの」だ。コメディでもあり、シリアスでもあり、ややグロテスクに感じる方もいるかもしれない。プロレスの感動を伝えるものかもしれないし、社会風刺の意味合いもあるかも。

 読み手によって、本作で得る「感想」は大きく異なるのではないだろうか。そういう意味では、西加奈子さん初読みの読者には、あまり勧められない。著者の作品…

2017/11/12

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ふくわらい / 感想・レビュー

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ミカママ

西さんの作品はこれで何冊目かだけれど、ほんとハズレがない。読み終わるのがもったいない小説、またみっけ。なんとなく私の中で、主人公・定ちゃんは、西さんご本人なんだよな。あったかくて、真っ直ぐすぎて(よって生きづらい)、生き方にブレなし、というような。出てくる人たち、みんなあったかい。ラスト私的には、定ちゃんは守口さんとカップルになって欲しかったんだけど...しゃあないな。明日からまた頑張ろう!という勇気も貰えるオマケ付き!!

2015/05/25

にいにい

久々の西加奈子さん。これは凄い作品だ。人が生きることってどんなこと?を突き詰めている。定をはじめキャラが良い。世界各地の生きることと、定の生活が繋がりながら進んでいく。西さんは、人間が好きなんだ。ちゃんと主体的に生きてもらいたいんだ。普通、綺麗事を組みなおして、本当のあり方を見つけ出すその鋭い目線が物語を紡ぎ出す。グロな表現もあり、途中で受け付けれない人も居るかもしれないけど最後までたどり着けば納得の一冊。ゲシュタルト崩壊しても、意味のあるものは意味あるところに落ち着くじゃないかな。読んで良かった一冊。

2014/06/21

ちぃ~

いい~☆⌒(*^‐゚)b!すっご~く。何とも不思議な空気感!うまく言葉で言い表せないけど、ちょっと変わった定が不器用な生き方を常識とは無縁な登場人物達と過ごす。西さんの空気感だ~!。「きりこについて」と同質に感じられる「自分の存在を受け入れる」生き様の潔さ。読んで良かった(゚ー☆)(。_★)♪

2015/08/01

めろんラブ 

私「あの~、強烈過ぎやしませんかね~、いろいろと。あ、いえ、ちょっと刺激が強いというか・・・」西さん「はあ?なんぼのもんじゃい、われ。こちとら血ヘド吐いて書いとんねん!」こんな妄想が広がったのは、物語の迫力にしばかれどつきまわされた為と、西さんが大阪育ちゆえw人が大好きやねんパワーに溢れた人間讃歌小説は西さんの得意とするところ。本作では、個性的でエキセントリックな面々が、互いに作用し有機的な変化を見せるクライマックスが愛しい。どんなに不恰好でも、ただ幸せを求める姿には胸を打たれる。皆に幸多からんことを。

2012/11/26

kishikan

「羽生でもいいよ。ピカソでもいいし、マラドーナだっていい。誰だって思うんだ。そうなりたい、なれるって。でも気付くんだ。なれない。天才は生まれたときから天才だし、ずっと努力するからどんどん差が開いちまうんだ。・・ずっと猪木さんみたいになりたかった。でもなれなかった。天才にはどうしたってなれねぇ。でもおいらには、これしかない。・・・だっておいらはプロレスが好きなんだ。生きているんだから、おいらは好きなことをする。生きるのが終わるまで、好きなことをする。」直木賞候補作?個人的には芥川賞って思うけど。素晴らしい。

2013/03/22

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