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優しい鬼

優しい鬼

優しい鬼

作家
レアード・ハント
柴田元幸
出版社
朝日新聞出版
発売日
2015-10-07
ISBN
9784022513137
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優しい鬼 / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

誰のせいでもないが、誰のせいでもあった事で大切な者を喪った時、男の心は永遠に死んでしまった。そこから漣のように広がった暴力と怒りと復讐。夫から暴力を受けても誰にも助けを求められず、かといって誰も助けなかったジニー(スー)。そんな彼女がライナス殺害後、贖罪としてジニアとクリオミーからの飼い殺しを甘んじる姿は彼女達が元は姉妹のようだった頃を思うと余りにも残酷だ。だが、ジニアの甥のプロスパーの名の意味に気づくと、声なき叫びと渦巻く怒り、過去の自分への悔いに揉まれながらも微かで確かな希望は確かにあったのだ。

2017/12/13

Willie the Wildcat

青空と雲だけは知っている、咲き誇るヒナギクたち。姉妹であり、母子であり、そして女性。クリオミーの語る「人間創生」。蝋燭の炎が生命であり、宿った生命に”差異”はない。救うため、救われるための生命。虐げられる中、ジニーがジニアとクリオミーに見せたライナスの写真。ジニーの思いを、プロスパーが”姉妹”に繋いだのではなかろうか。受け継がれる思い。但し、奇麗ごとばかりではない事実であり、悲しき現実という感。

2018/11/17

キムチ27

秋、一番の作品に会えた。文学、物語というより抒情詩といった肌さわり。読み終え 昔見た「カラ―パープル」を思い出し、その時流れた涙の温度が甦った。骨組みが無く、語り手が変わる事での戸惑いは拘らなければ、すんなり流れに乗れた。「わたし」「あたし」「私」と語る想いは時代によって微妙に変わって行く19C後半から20C初めのアメリカの社会を伝えている。登場人物―白人の「楽園主」、14歳で嫁いできた少女、2人の子供、奴隷の姉妹、インディアンらしき❔人物が描かれるが文章は恐ろしいほど感情を抑えた事実のみ。だけに怖い・・

2020/10/01

星落秋風五丈原

複数の語り手が「語るべき物語」を「語るべき言葉」で語る。構成が凝っていて、現実と幻想が入り組み、同じ章のなかで時制が前後する。更に、全ての語り手が本当のことを語っているとは言い難く「本当の物語」は、複数の語り手から語られる断片をひとつひとつ丹念に拾っていかないと、容易につかめない。読者を選ぶ作品であるが、俯瞰的な視点、抒情的な文章に引きずられて、鬼達の行方が気になりひたすら追った。いち個人、ひと=「One」は、たとえ優しくても鬼になってしまうものなのか、鬼であっても優しく在るということができるのか、と。

2015/11/13

白のヒメ

主人公の女性がとことんまで自分の悲運に対して受動的に感じるのは、南北戦争前の時代背景があるのだろうか。いや、やはり個人的な性格なのだろうな・・・と呟きつつ読み進めた。題名の「Kind One」は何(もしくは誰)なんだろう。きっと女たちを虐げていた夫の、首の後ろに刺さった豚を屠殺するためのナイフがそれを表しているんだろう。とてもひき付けられた作品なのだけれど、心の情景がそのまま文章になったように物語が途切れ途切れにあちこち飛ぶので、頭の中で人物を繋ぎ合わせるのが大変だった。

2015/11/21

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