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あちらにいる鬼

あちらにいる鬼

あちらにいる鬼

作家
井上荒野
出版社
朝日新聞出版
発売日
2019-02-07
ISBN
9784022515919
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あちらにいる鬼 / 感想・レビュー

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吉田あや

小説家の父と美しい母、そして愛人である瀬戸内寂聴さんを巡る縁と情交を、娘である荒野さんがそれぞれの視点から描いた本作。無粋な愛憎劇ではなく、人と人の人生の側面を豊かに、時に喜劇のように事も無げに開いて見せる筆致が素晴らしかった。柔らかい場所から生まれたはずの想いが鬼へとなり果てぬ様、他方は心を逃がし、他方は笑顔の奥に想いを沈めた。沢山の女を渡り歩くたったひとりの鬼。あちらにいる鬼を思うふたりの女が結ぶ類まれなる友情にも似た想いが切ない。

2019/02/17

野のこ

すごいの読んじゃった!荒井さんの作品はいくつか読んでますが、帯に書いてあることは知らなかったのでびっくりです。どこまで本当なの!?と思わせるような赤裸々な内容。「体が衰えても、心はしぶとく求める」「別れたいのでなく、別れないのだ」とかの文章にドキドキしながらも夢中になって読んだ。娘である荒井さんはどんな気持ちで書いたのだろう。3人の関係は複雑ながらも、それぞれが愛しく思ってるって伝わってきました。でもそしたらタイトルはどんな意味があるのだろう。装丁の女性は…?

2019/03/22

四つ葉🌸

『事実は小説よりも奇なり』のことわざを嚙みしめながら読み終えた。井上荒野さんのお母様と父親の井上光晴氏、そして瀬戸内寂聴さんとの性愛が絡んだ三人の特別な関係が微細に丁寧に綴られている。寂聴さんの不倫の件は以前から存じ上げていたが、そのお相手が荒野さんの父親であった事は本作で初めて知った。一つ間違えばスキャンダラスな暴露本になりかねない内容なのに、荒野さんに掛かれば不思議と静謐な雰囲気で、温かみすら感じる。愛の形は様々だがこういう不思議な愛も又存在するのか。この作品を認め素直に感動する寂聴さんの逞しさに驚く

2019/03/01

しゃが

愛しい男性を身元に在ってほしいという女性の願望なのか、性なのか。井上の作品といえば好きだった靖・ひさし、光晴。社会的な題材を表現していたその光晴さんがこんな「私生活があったとは驚きだった。終盤の妻笙子と特別な関係にあった作家との女性の“同志”のような、“友情”のようなそれでいてそれぞれの領域を侵さない、昇華された美しさを感じた。

2019/03/21

りつこ

井上光晴のドキュメンタリー映画を見たことがあったので、そういう興味もあって読んだ。インタビューや自分が幼い頃から見聞きしたことを「こういうことだったの?」と作家の目で練り直して、母と愛人の視点から描くというのは相当にしんどいことだと思うが、恨みがましいところがひと欠片もなく清々しかった。見て見ぬふりをして共に生きること。そういう関係から離脱すること。書くこと。書かないこと。火の玉のような男を挟んで生きる二人の女性の魅力的なこと。天晴れな生きざまをこうして一つの物語として読むことができて幸せだ。

2019/02/16

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