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奈落で踊れ

奈落で踊れ

奈落で踊れ

作家
月村了衛
出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-06-05
ISBN
9784022516893
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「奈落で踊れ」のおすすめレビュー

1998年「ノーパン“すき焼き”スキャンダル」発覚! 揺れる大蔵省に現れた“ダークヒーロー”の驚愕の決断とは

『奈落で踊れ』(月村了衛/朝日新聞出版)

 あなたは「官僚」というと、どんなイメージを持つだろうか。国の予算や政策、法律の策定に携わる重要な人々だけに「クリーンなエリート」でいてもらいたいものだが、どうも国会答弁で保身に徹しまくる様式的な姿を見たりしていると「不信感」を持ってしまう。このほど登場した月村了衛さんの新刊小説『奈落で踊れ』(朝日新聞出版)はフィクションではあるが、そんな「不信感」を完全なる「ブラック認定」に変えてしまうかもしれない刺激的な1冊だ。

 小説の舞台は官僚組織の中でもエリート中のエリートであった大蔵省(2001年に財務省と金融庁に解体)。1998年の冬、大規模接待汚職「ノーパンすき焼きスキャンダル」が発覚して大揺れに揺れる同省内部を、“大蔵省始まって以来の変人”の異名を持つ香良洲圭一の暗躍を通じて描くピカレスク(悪漢)小説であり、ブラックでないわけがない。

 スキャンダル発覚で省内が大騒ぎの中、自身も接待を受けていた89年大蔵省入省組の4人はなんとか処分を逃れようと、接待を受けていない同期の文書課課長補佐・香良洲圭一に助けを求める…

2020/7/25

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奈落で踊れ / 感想・レビュー

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starbro

月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。しかし「ノー●ンすき焼き」の言葉で始まると思いませんでした(笑)本書は、大蔵官僚・ノワール・コメディの怪作でした。実在した政治家も多数登場し、当時の状況を知っている人は特に楽しめると思います。私は、当時新宿で勤務していましたが、ぺーぺーだったので、「ノー●ンしゃぶしゃぶ」で接待されたことはありません(涙) https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21967

2020/06/27

しんたろー

月村さんの新作は、官僚版『半沢直樹』?そこは池井戸さんと違って「ハラハラして共感して痛快」ではなく、シニカルな笑いがまぶされ「社会派風刺小説」とでも呼びたくなる内容…1998年の「ノーパンしゃぶしゃぶ接待事件」をなぞらえて、大蔵省を舞台にした疑似ドキュメンタリーのよう。実在の名称も混在させながら描かれた世界は「現実もこうなんだろうなぁ」と思えるリアルさと人間の可笑しさがあって、大人向けの軽い読み物になっている。官僚や政治家を痛烈に批判していて、庶民の野次馬根性を刺激された。でも『機龍警察』が読みたい!♬

2020/07/17

いつでも母さん

すき焼き?いやいや、あれはしゃぶしゃぶでしたねぇとあの頃、連日賑わせていた事件を思い出した。『げに馬鹿馬鹿しきは宮仕えかー』香良洲の心の声をあの頃も今も官僚の多くは思っているのだろうか?これはフィクションですよね(汗)月村作家の手に掛かると、テンポよく面白く読めてしまう。奈落かぁ・・奈落の底は何処なんだろう。今の日本はどの辺り?

2020/06/24

ウッディ

1998年不正問題が相次ぎ、官僚への過剰接待としてノーパンすき焼きスキャンダルが発覚し、大反発を食らった大蔵省。それを逆手にとり、反発勢力を処分し、省を意のままに操ろうとする次期事務次官候補の暴走を食い止める省内きっての切れ者で変人と称される香良洲圭一。政治家、ヤクザを手玉に取って活躍する香良洲の正義は実るのか?伏魔殿と呼ばれる霞が関で傍若無人に振る舞う香良洲の行動力と頭の冴えにはスッキリしました。ただ大義のために行った公文書改竄という罪が糾弾されるラストは、今の時代にも通じる著者のメッセージだと感じた。

2020/11/23

のぶ

実際に大蔵省で起こった事件をもとにした小説で、内部をよく描いていると思うが、何かコミカルな印象を受けた。1998年大蔵省で「ノーパンすき焼きスキャンダル」が発覚した。省内は騒動で揺れていた。この物語の主人公は文書課課長補佐の香良洲圭一。香良洲は事件の関係者のリストを突きとめるために協力を依頼された。本作の中では狂言回しのような存在で、善悪どちらにもつかない存在だった。自分もこの事件の事はよく覚えているが、スキャンダルにしてはあまりにレベルが低い。そんな出来事を月村さんは上手く小説に纏めていると思った。

2020/07/04

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