カード師
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ダ・ヴィンチニュース編集部 ひとり1冊! 今月の推し本【6月編】
ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、“イマ”読んでほしい本を月にひとり1冊おすすめする企画「今月の推し本」。 良本をみなさんと分かち合いたい! という、熱量の高いブックレビューをお届けします。
『街の上で』から『太郎は水になりたかった』へ。癖になる大橋作品『太郎は水になりたかった』(大橋裕之/リイド社) 『太郎は水になりたかった』(大橋裕之/リイド社) 少し前になるが、緊急事態宣言が発令される直前に映画『街の上で』を観た。『愛がなんだ。』や最近では『あの頃。』などで知られる今泉力哉監督が下北沢を舞台に描いた群像劇だ。それほど重大な事件は起きないが、恋愛に軸をおき、人間の心の揺れ、青春期がそうさせてしまう感情的な行動、自意識、漂う気まずさetc.がちりばめられ、どれも「あ、わかる」「痛いけど淡くて……なんかありがとう」なんて思わせてくれるのだ。魅惑的で実力派の出演者たちと今泉作品が醸し出す味わいやユーモア(もはやコント)に魅せられ、観終わった後もしばらく高揚した気持ちに包まれている自分もいた。そんな本作の脚本に、マンガ家の大橋裕之氏が携わって…
2021/6/20
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カード師 / 感想・レビュー
starbro
中村 文則は、全作品読んでいる作家です。 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11074106?sort=book_count&order=desc 本書は、澁澤龍彦風、悪魔的妄想カード小説でした。この小説を朝日新聞で連載していたこと自体が凄い。偉くなると信頼出来る人がいなくなるのか、占い頼みの人が多い気がします。私は、占いの類いは一切信じていません(笑) https://book.asahi.com/article/14347646
2021/05/25
bunmei
学術的専門分野に裏付けされた記述や文学的な表現、そこに中村氏自身の哲学とを重ね合わせ、読者を威圧してくる。その圧倒的な情報量と緊迫感のある展開に、難しさも感じるが、読み応えがあり充足感も与えてくれる。今回も、賭博のカード師を主人公にしたスパイ・ミステリーであるが、そこに幼少期のトラウマ、ギリシア神話、魔女狩り、ポーカー、タロット占い等の、様々なエッセンスが詰め込まれたエンタメ作品となっている。中でも、賭博場でのポーカーの極限の心理戦を描いた筆致は、その場の息遣いまで聞こえるような臨場感が伝わってくる。
2021/05/27
パトラッシュ
占いを信じない占い師を装う違法カジノのディーラーとは、また複雑怪奇な設定だ。占いが百発百中なら賭博で連戦連勝のはずが、信じないからこそ兼職できるのだから。裏社会の奇々怪々なキャラに翻弄され、途中からは新型コロナ流行も加わって明日の読めない世界で明日を読むよう要求される主人公は不条理の渦中でもがく。その姿は自分が毒虫に変身しているのに気づいた会社員そのものだが、全財産を賭けたポーカー勝負に巻き込まれながら逃げ切れたため何とか社会にしがみつけた。この危険で苦悩に満ちた不安定さこそ作者の描きたかったものなのか。
2021/05/31
R
本筋と関係ない、カード賭博の熱い戦い部分がエンタメに振り切れててすごい面白かったんだが、全体的には結構哲学的で難解な物語だった。カードといかさまと運命という、共通項なりえそうな要素で話は進むのだけども、実際はそれぞれ独立していて、相互関係はなく、でも、運や、勝負術や、生きる目的のようなものが何か、それを実践して探求していく。カード勝負のひりつく緊張感、世界に対する諦めと愚痴とが混じる、運命を呪う様というのが、現実や事実を蔑ろにして、心理、精神における上位の在り方を嘲笑うような文章だった。
2021/10/18
のぶ
中村文則さんの新刊なので、覚悟をもって臨んだが、やはりなかなか手強い作品だった。主人公は占いを信じていない占い師であり、客を翻弄するディーラーでもある男が、ある組織から冷酷な資産家の顧問占い師となることを命じられ、物語は始まる。タロット占いに一喜一憂する人、ポーカーで全財産を失い人生を狂わされる人、1枚のカードに意味を見出そうとする人間の弱さ、そしてカードには人間が抗えない魔力があるのかもしれないと思った。難しさがある反面、ポーカーゲームのスリルが描かれていて、読み応えのある物語だった、
2021/05/19
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