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植物忌

植物忌

植物忌

作家
星野智幸
出版社
朝日新聞出版
発売日
2021-05-07
ISBN
9784022517609
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「植物忌」のおすすめレビュー

植物の声を聴き、生命の循環を体感するSFファンタジー短編集『植物忌』がくれた気付き

『植物忌』(星野智幸/朝日新聞出版)

『植物忌』(星野智幸/朝日新聞出版)は、植物がむせ返るほどの匂いや息遣いと共に語りかけてくるSFファンタジー短編集だ。収録作の多くは植物と人間の交わりを描いており、生命の環という途方もないスケールのメッセージを受け取れる。

 ファッション・タトゥーとして植物を直接肌に植える技術の発展と、人類の生物種としての進化を語った「スキン・プランツ」。疫病が蔓延した世界で部屋に引きこもる少女と青虫の交流を、絵本のような世界観で描く「ディア・プルーデンス」。植物との同化を願って植物転換手術を受けた青年の経験を追体験する「ぜんまいどおし」。植物の反乱とそれを食い止める組織ネオ・ガーデナーの抗争をスリリングに展開した「ひとがたそう」。ほか、個性豊かな全11編が収録されている。

 植物はかくも大きな生命の環の中で生き続けているのだ、と圧倒される。たとえ1本の木が枯れても、別の場所に飛んだ種が芽吹けば、種の保存が続く。短編集の最初を飾る「避暑する木」は、ひとりの少年がある強い想いと共に育てた木の種を、人の手を借りながら世界へと運び、やが…

2021/6/16

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植物忌 / 感想・レビュー

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starbro

星野 智幸は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、不条理植物幻想譚連作短編集でした。オススメは、『避暑する木』&『桜源郷』&『喋らん』です。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001203.000004702.html

2021/06/12

はっせー

不思議な小説が好きな人や植物が好きな人に読んで欲しい本になっている!読書友達からいただいた本。読んでいてとても不思議な気持ちにさせてくれるものであった。植物と人間との境界線がなくなりつつある世界の短編物語。読み終えて考えることは人間とはなにか。自然との共存とはなにか。そんなことを考えさせてくれる本になっている!まだまだ考える余地が多い本であった!

2024/03/05

千穂

植物と動物の境界が、曖昧になっていく。頭にアイビーとか生やしたり。かなり不気味なSF的なストーリー。もっと美しいものを想像していたので、ちょっと自分好みの作品ではなかったかな?じぶんも植物を枯らしてしまうことは多いが、枯らした植物を再生させようと努力したり。自分にもからしや的要素がありそうだ。

2021/06/21

りー

げっそり読了。文章酔い。一人称で書かれているのに途中で語り手が変わったり地文が入ったりして、ぐるぐる(@_@)する。視界が急に変わって酔う状況を意図的に作っている作品。あえて例えるなら、強引に引きずり込まれる初期の神林長平と胡散臭~い中島らもを足して2で割り、植物を入れた感じ。人間とその他脊椎動物が滅んだ後は、植物が生き残るのでしょうか。掌編12で構成されていますが、ほぼ全て設定が違い、共通するのは「植物の殿堂『からしや』」という店が出てくる点。からしや=枯らし屋、だそうで。作者の哄笑が聞こえる…。

2021/09/30

ぽてち

植物と人との関わりを描いた短篇連作。「Made In Plants」というシリーズものではより明確になっているが、幸福な共存というわけではないのは本書のタイトルに“忌”の字が入っていることからもわかる。どの作品も奇想に満ちていておもしろかった。自宅の庭を自然に返して久しいが、ガーデニングが趣味の人ならより楽しめる(もしくはおののく)かもしれない。

2021/06/05

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