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忘却にあらがう 平成から令和へ

忘却にあらがう 平成から令和へ

忘却にあらがう 平成から令和へ

作家
東浩紀
出版社
朝日新聞出版
発売日
2022-08-05
ISBN
9784022518569
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忘却にあらがう 平成から令和へ / 感想・レビュー

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けんとまん1007

タイトルに同感。たとえ、時間がかかってもいい。たとえ、取り残されてもいい。それでも、忘れないように、想い出すことができるように、一つ一つの言葉の意味を考え抜きたいと切に思う。それが、結果として、伝わることも広く深いと考えている。目先の軽薄な手段・言説・流行に囚われないこと。苦しさがあっても、自分なりの哲学を持ち続けることしかないと考えている。それが、今の時代へのアンチテーゼ。

2022/10/19

ころこ

『AERA』初出からGoogle経由で読んでいたら、自然と毎回読んでいた時評が本になった。主張を前面に押し出すコラムではなく、社会で大勢となっている見方に対して異なる切り口や視点をあえて提示しているものが多い。知識人とは大勢に対して「あらがう」ことが役割だからだ。短いため論理展開は十分なされていない。けれども、短いが故に接続詞は意図的に省かれ(最後の『文藝』に載った文章は他より長く、接続詞が使われている)、事実のみ記されている。その論理の少しのジャンプが余韻をつくり、接続詞の不在とともに文章にリズムを刻ん

2022/09/23

まゆまゆ

今年4月までの5年分の雑誌時事コラムを編集した内容。次々と起こる出来事や事件によって、一つの事件に潜む背景や意味といった点を深く掘り下げることがされなくなり、みんな忘れっぽくなった。さらにSNSによる熱しやすく冷めやすい状況が拍車をかけ、近視眼的に迷走を繰り返すようになった。平成時代には何度か日本社会の変革への期待が盛り上がったが、今や諦めが先行している風潮もある……

2022/09/21

おっとー

平成から令和にかけての様々な話題と思考を集約した一冊。特に令和に入ってからのコラムはコロナ騒動を経時的に追って冷静な思考を貫いており、ある程度の落ち着きを見せた現在から見ると、いかに人々が空虚な大騒ぎをし、そしていともあっさり忘却したかがよくわかる。すなわち令和は平成における空虚な祝祭の集大成のような形で始まった。平成の初期はまだ改革の実現性があった。しかし平成中期以降、空虚な言葉と行動が蔓延ってきた中で、人間はいつまでSNSを中心としたお祭り騒ぎを続けるのだろうか。

2023/07/25

walkalong621

今必要なのは短期的な動員ではなく、むしろ忘却に抗う力だ。「AELA」の巻頭コラムを集めた時評集。問題が発生し、短期間必要以上に大騒ぎし、根本的な解決がないまま忘れられる、そんな繰り返しへの異が何度となく語られる。祭りに時間を費やすことを避け、「人生は無限ではない」と自分ができることを地道に行う著者の姿勢は素敵だ。中では正しい動きへの完成度を競うオリンピックよりも、障害の質や程度により多様な戦い方があるパラリンピックの方が面白かったと述べている回が、魅力に欠けると思われがちなパラへの新たな視点で面白かった。

2023/02/09

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