星野道夫の仕事 第4巻
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星野道夫の仕事 第4巻 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ワタリガラスは、クリンギット族だけではなくアサバスカン・インディアンからエスキモー(本文中ではこの言葉が用いられている)に至るまで、この極北の地に暮らす人々に共通して創世神話の主人公であるという。そして星野はそれを「モンゴロイドがたどった遥かなる旅の足跡」だと言う。さすればワタリガラスは、時空を超えた旅人であり、星野はそれをこの地で確かに目にしたのである。荘厳なまでの自然と、そこに生息する動植物。そしてその地に生の営みを続ける人間。私たちは星野の眼を通して初めてそれらに触れることができたのである。
2021/07/30
Mijas
写真集のはずなのに、添えられた言葉に心が響く。そしてこんなに素晴らしい世界があることに感動し、欲しい一冊となった。地球のアルバム。太古から地球とともに育まれてきた生命のアルバム。第4巻は風景写真も多いが、写真を見ている間、その世界に引き込まれるような気さえする。例えば、巨木の枝々から苔類が垂れ下がる森の写真やツンドラにクジラの骨が立っている写真。向こうに見える日が輝く。朝と夜の境界、光と闇の境界の一瞬が写し出されているのだが、まるで境界がなくなる一瞬を捉えたかのよう。チュコト半島への旅の写真も興味深い。
2016/10/14
遠い日
ワタリガラスの神秘性を、星野道夫はアラスカのどんな光景にも、どんな自然にも、見ていたはず。求め求めた神話の再現を、そこに重ねたことだろう。圧倒的な迫力で命あるものの凄まじい輝きと力を押し出してくる。ことばが出てきません。
2022/05/17
のりのりののの
すごい! ドキドキした 図書館本だけど欲しくなった 何回も見直したい
2019/04/21
timeturner
最終巻だから1~3巻に入れられなかった写真を残らず詰め込んだのか、1枚1枚の引力が強くて魂を吸われた。ワタリガラスの伝説がモンゴロイドとともにユーラシア大陸から大陸へ伝わっていった話は興味深い。池澤夏樹さんの解説も最後まで素晴らしかった。
2023/11/18
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