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ベトナム戦記 [新装版] (朝日文庫)

ベトナム戦記 [新装版] (朝日文庫)

ベトナム戦記 [新装版] (朝日文庫)

作家
開高健
秋元 啓一
出版社
朝日新聞出版
発売日
2021-11-05
ISBN
9784022620569
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ベトナム戦記 [新装版] (朝日文庫) / 感想・レビュー

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イプシロン

この本の感想は人それぞれであろう。それでいいと思う。しかし、日野啓三の解説にあることだけは押さえておくべきだろう。曰く「“事実”というものは、どうしようもなくあいまいであり、どんな顔でも見せる。ルポルタージュあるいは報道記事というものは、事実を客観的に伝えることである、という安定した大状況下での定義は成り立ち難い」ゆえに「明確な構図のない大状況の混沌の中で、事実らしきものを追い、最小の筋道でも読みとり浮かびあがらせたい、とする報道者としての誠実さが、言葉の、文章の全性能を不可避的に呼び出すのである」と。

2022/10/02

Hatann

1964年のトンキン湾事件以降、アメリカは南ベトナムの内乱に直接介入を始める。同年11月から約100日間に南ベトナムのあちこちを歴訪し、泥沼に向かうベトナム戦争の状況を予言したルポルタージュ。ニョクマムの匂いのしみついたベトナムは、農作物に恵まれているものの、圧倒的な貧困層を抱えており、見えない搾取の構造を感じさせる。爆撃や虐殺は、人々を政府ではなくベトコン支持へと走らせた。米国兵との対話に加え、旧来の知識人層である仏教僧との筆談などを通じ、総力戦の悲惨さに肉薄する。豊富な語彙と鮮烈な写真にくらくらする。

2023/03/13

勝浩1958

よくぞ行った!よくぞ書いた!あなたは凄すぎる。サントリーオールドのCMが思い出される。

2022/11/11

どら猫さとっち

開高健は、64年11月から翌年の2月の100日間、戦火のベトナムに行き、そこでの体験を綴った。それが本書である。そして、そこから生まれた名作が「輝ける闇」だ。リアルに生々しく、読んでいくうちに、リアルな戦火がページから湧き上がり、逃れられない戦争の苦しさ、残酷な生活が浮かび上がる。地べたに座り込み、茫然としている開高の姿が、今も忘れられない。そして、本書で綴った戦争の生々しさは、読んだ後も心の奥底に残っている。

2021/12/25

Sansan Nag

眼光鋭く文章も切れ味抜群。たとえ仕事だったとしても、命を賭して戦場に向かうなんて、敬意を込めて正気の沙汰ではないと思ってしまう。生死のギリギリのところで開高健が見たもの感じたものを追体験できる。一方で引きの視点で考えると、ベトナム戦争とはなんのための戦争だったのか。ある地域では牧歌的な前時代的な暮らしをする人もいる、傍らで血みどろの戦いが繰り広げられているという。現実なのか仮想空間なのか判別できない混沌の中だったのでは?と思う。戦争はmadだ。

2023/09/08

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