シンセミア 1 (朝日文庫 あ 39-1)
シンセミア 1 (朝日文庫 あ 39-1) / 感想・レビュー
James Hayashi
伊藤整文学賞、毎日出版文化賞をダブル受賞。図書館にあったのは2冊のみ。実際は4冊セットらしい。出だしはアメリカの都合でメリケン粉が日本に大量に輸出されるようになった軌跡など見られ、ビジネスが語られるかと思ったが、山形の地方で連続の不審死が起こり重々しい感じ。街の人々の生活や思い、陰湿な部分が語られていく。この流れが自分の鼓動と合い、非常に高まる不安感。アマゾンでの評価は低いが、個人的には読み応えを感じ、傑作の匂いを感じさせる。次巻へ。
2017/07/12
James Hayashi
昨年、2巻まで読んで感嘆していたが、ようやく全巻揃ったので読み返し。著者の地元の山形を舞台にかなり常軌を逸したストーリー。人物造形がハッキリぜず、登場人物も多く読みづらい。しかし期待感を煽る様な内容であり、ドス黒い重厚な低音が響く様な作品。読み手を選ぶ。次巻へ。
2018/08/08
ミツ
果樹園と小さな丘みたいな山しかない平穏で退屈な地方田舎町、神町、のはずが幽霊は出るわUFOは飛ぶわ地震や火事は起こるわ人が死んだり行方不明になったりと何とも不穏で魔術的な場所へと変貌してしまった神の町。総勢60名を超える登場人物と町ひとつを舞台にした小説世界のスケールと密度はかなりのもの。そして相変わらず変態しか登場しない。男の子サークル特有のホモソーシャル空間を描かせたら阿部和重の右に出るものはいないなぁと再認識。彼らの言動は滑稽で下らないが、徐々にドライヴされ加速してゆく狂気にハラハラしつつⅡ巻へ。
2012/08/23
James Hayashi
じわじわ滲み出る渋み。病みつきになる様なストーリー展開。ダークさ、違和感、方言、特殊な人間関係と興味は尽きない。再読。
2021/02/02
スミス市松
あいかわらず感銘をうける比喩表現もなければ、登場する人物はことごとく醜悪で下劣な変態ばかり(『ブルー・ベルベット』のデニス・ホッパーみたいな人しか出てこない)。最初は食傷気味にもなりかけたのだが、気狂い映像サークルの暴虐の次第を追っていくうちに、実はもうひとりのサークルメンバー、つまりこの妙な語り手が「撮影」する「映像」をみてひとりほくそ笑んでいる自分がいることに気づく。まるで真夜中に遭遇したナメクジの交尾をまんじりともせずに見入ってしまうような、そんな「きもちわるいものみたさ」だけが沸騰しつつ、次巻へ。
2012/04/18
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