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暗転 (朝日文庫)

暗転 (朝日文庫)

暗転 (朝日文庫)

作家
堂場瞬一
出版社
朝日新聞出版
発売日
2015-06-05
ISBN
9784022647825
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暗転 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

前代未聞の列車横転事故の冒頭から、被害者である雑誌記者、定年間近の警官、そして事故を起こした鉄道会社の広報部員、と視点がクルクル変わりながらも、一気に読まされました。もしも自分が彼(彼女)なら、とすんなり感情移入させられるところ、堂場さんの筆力でしょう。臨場感あふれる事故現場は、彼の記者時代の経験も活かされているのか?なにを書いてもネタバレになりそうなので控えますが、要所要所で「タバコ」と「カフェイン」が登場人物たちを勇気づけているのが、人間臭さを感じましたね。堂場さんは、社会派小説も面白い!

2015/12/29

あすなろ

企業に対する捜査は難しい。会社というものは、何か不祥事を起こすとすぐに頭を下げる。隠滅を図り、1人の人間人間全責任を押し付けて会社の責任を軽減する。それを問い続ける堂場氏社会派作品。なかなか考えさせられる。自分だったらその場でどういう行動に出るか?登場人物達は?ラストの母親の声に救われる。会社は、社会より小さいのよ、と。但し、もう少しラストは今ひとつ。

2017/02/19

はたっぴ

福知山線の脱線事故を彷彿とさせる社会派小説。冒頭から事故現場の様子がリアルで、通勤電車で読むうちに気が滅入るほどだった。特に心に残ったのは、鉄道会社の広報担当・御手洗が『会社への忠誠』と『社会的な良心』のどちらを守るのか…というコンプライアンスやモラルの視点での描写だ。私も日々、会社でコンプラ(法令遵守)チェックを受けるが、社会的な正義ではなく、会社を守るためのものだな…と思い、白けてしまうことがある。御手洗の母親の「正しいことをしなさい」というシンプルな一言が、どんな言葉よりも崇高で重みを感じた。

2016/05/19

じいじ

 幸いにも、私は不慮の事故で身近な人間を失ったことはない。今作を読了して身内を亡くす無念さ悲しさに胸がつまった。早朝、通勤通学の満員電車が脱線転覆、80名超の死者を出す大惨事。原因究明に走る雑誌記者と初老警官、真相を隠す鉄道会社の三方の視点から描いた社会派ドラマ。社会的正義を幹にして、企業の本音と思惑、人間一人一人の感情が絡み合って話が展開する人間ドラマに引き込まれた。鉄道会社の原因の偽装は断じて許されることではないが、最後に勇気ある行動の広報担当の青年には感動した。しかし、青年は企業を去ることに・・。

2015/11/28

そうたそ

★★★☆☆ 福知山脱線事故を題材としたミステリ。事故に遭った雑誌記者、事故により死亡した女性の婚約者、事故を捜査することとなった定年前の刑事、鉄道会社の広報担当者、四人の視点から物語は展開される。前半部分は、事故の被害者としての自分と記者という仕事の葛藤、事故時目前に倒れる女性がいながら助けられなかったことに苦しむ記者や婚約者を失い、更には婚姻関係になかったために相手の家族から他人として扱われてしまうことに苦しむ男性の姿が描かれ心に迫るものがあっただけに、事件の真相追求をメインとする後半が陳腐に思えた。

2015/10/11

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