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ことり (朝日文庫)

ことり (朝日文庫)

ことり (朝日文庫)

作家
小川洋子
出版社
朝日新聞出版
発売日
2016-01-07
ISBN
9784022648037
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ことり (朝日文庫) / 感想・レビュー

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抹茶モナカ

最後まで読み通し、また冒頭の一段落を読み、「素敵な小説だったな。」と、思った。静かな文体で、小鳥の小父さんの生涯を描いた小説。小川洋子さんの作品らしく匿名の街で起こる物語。何処か魔術的な文体が、時に妖しく響く。小鳥という儚い存在を中心に、ちょっとアウトサイドの兄弟の話を展開するので、ガツガツ読める本ではなく、その世界観に引き込まれて、物語の魔力を楽しむ本。小鳥という儚い存在について書かれているためか、読者を優しい気持ちにさせもする不思議な本。

2016/08/12

酔拳

人の言葉を話せないけど、小鳥の言葉を理解できる兄と、兄の言葉を理解できる弟の静かな話です☆ やがて、兄は他界して弟は、兄が愛した、保育園の鳥小屋の鳥たちの世話をはじめ、ことりのおじさんと呼ばれるようになります… ことりのおじさんのささやかな生活が、静かにそしていとおしく、描かれています☆(博士の愛した数式に漂う空気感は似ています☆)

2017/03/27

ケンイチミズバ

誰からも干渉されず、誰にも迷惑をかけず、生きるための最低限の社会との交わりだけの世界。ひっそり静かに生きてやがて死ぬ。ふたり小鳥のように無害でおとなしく生き、かろうじて兄をささえた小鳥のおじさん。図書館での戸惑いが、喜びに変化し、落胆で終わる。あんなに小さな出来事も山場に思えて、変だけれど私には心地よかった。図書館を利用し続けるって読書の傾向、嗜好を把握されるんだ。人質の朗読会の槍投げ選手のひた向きな練習風景を儀式と書いた著者がここでも鳥小屋の掃除を儀式になぞらえていてまたしっくりきた。シーンとした。

2016/11/28

ちなぽむ

この物語に、こんなことを感じるのは不適切かもしれないけれど、最初から最後まで圧倒的にさびしくて悲しい話だった。終わりの予感が、報われない善意が。疑わしきを排除してなんの気もなしに放られる冷たい悪意が。 ある日小鳥の言葉を選び人の言葉を手放した兄と、その唯一の理解者の弟。静かでひそやかに生きる「取り繕えない人たち」が愛おしく寄り添いたくて、しかし当事者だったら決して寄り添うことのできない事実がかなしい。どうして、自分と違うひとを受け容れることができないのだろう。弾いて、怖がって、自分の価値観に押し込めて。

2019/06/16

エドワード

世の中には動物に真の愛情を注げる人とそうでない人がいる。鳥としか会話できない兄。兄の<ポーポー語>を両親に伝える弟。兄弟の楽しみは近所の幼稚園の鳥の声を聴くこと。両親と兄の死後、独りになった弟に、園長が鳥小屋の世話を依頼する。懸命に世話をする<小鳥の小父さん>。なんと優しい響きだろう。園児たちは彼に感謝の手紙とメダルを贈る。しかし幼児誘拐事件が起こり、新しい園長は彼を幼稚園から締め出す。それでも彼は<小鳥の小父さん>であり続けた。彼は決して孤独ではなく、ひっそりと幸せだった。哀しくも不思議に暖かい物語。

2016/02/03

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