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ウエストウイング (朝日文庫)

ウエストウイング (朝日文庫)

ウエストウイング (朝日文庫)

作家
津村記久子
出版社
朝日新聞出版
発売日
2017-08-07
ISBN
9784022648532
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ウエストウイング (朝日文庫) / 感想・レビュー

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shizuka

ひとつの古びたビルを巡る群像劇。大雨の一夜を軸とし、前後で話がわかれているのがリアルさを増す。丁寧な描写なので、少々読むのに時間がかかったが飽きることはなかった。ネムロもフカボリもヒロシも投げやりでなくちゃんと生きている。いや彼らだけでなく、この物語に出てくる人々が嘆きながらもきちんと生きている、生きようとしているのが微笑ましい。廃室でこっそりサボりあっていた三人、メモを介し交流してたのが実はあんなことに巻き込まれ、そして…。ラストも淡々としていて実にいい。デコデコとしていないのが津村さんの特徴なのかな。

2017/12/26

ユメ

同じ古い雑居ビルのテナントである設計会社の事務員ネゴロ、水質調査会社の社員フカボリ、進学塾の生徒ヒロシ。たまたまビル内の物置場を息抜きの場所として利用していたことから、三人の人生はわずかに交錯する。物置場での物々交換はあまりに細々とした交流で、三人は互いの顔も名前も知らない。しかし、この場所の存在がそれぞれにとって日々の閉塞感の小さな風穴となっていることはわかる。豪雨とビルの取り壊し騒動によって三人が一瞬交わるシーンは感動的だ。それはほんの些細な出来事にすぎない。しかし、その小さな灯りがとても愛おしい。

2018/09/06

タカギ

ネゴロ、ヒロシ、フカボリ。<ウエストウイング>という老朽化した雑居ビルで、働いていたり、塾に通っていたりする3人。古ぼけたビルのさらに忘れ去られた物置きの一角で、置き手紙を介して、直接会わずに交流していく。見知らぬ人との交流がわずかな救いになること、あるんだな。解説の松浦寿輝氏は、その物置き場を<アジール(避難所)>と表現していて、なるほど、アジールのような物語だな、と思った。嵐の一夜は『とにかくうちに帰ります』を思わせる。ああいう時って、連帯感が生まれる。不思議だ。

2019/09/07

あこ

最高に面白い!NHKの72hみたいなイメージを持った。 良く言えば趣きがあるけれど悪く言えば寂れくたびれた椿ビルディング。ここを舞台とした普通の人たちの日常と非日常。 津村記久子の描写の細かさ、リアルさは本当に癖になる。

2017/10/11

エドワード

駅に近くて格安家賃の椿ビルディング。どんなビルの片隅にもある物置き場でサボっているネゴロ、ヒロシ、フカボリをキーマンに、テナントの個性的な面々が交差する群像劇。勤め人もいれば零細カフェの店長もいる。塾通いの小学生もいれば正体不明のオッサンもいる。大雨による帰宅困難パニックや、排水管破裂による感染症疑惑などお騒がせに事欠かず、病院で初めてお互いを認識する三人がユーモラス。安い物件には訳がある。修繕費不足をどう補うか、ビル閉鎖の噂に店子たちは鳩首相談するのだが、ビルの運命や如何に!都会の袖振り合うも他生の縁。

2018/03/21

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