朝日文庫時代小説アンソロジー『悲恋』 思慕・恋情編
朝日文庫時代小説アンソロジー『悲恋』 思慕・恋情編 / 感想・レビュー
けやき
悲恋を題材にした7編。安西篤子「蘇芳」、池波正太郎「寛政女武道」、北重人「恋の柳」、澤田ふじ子「うそつき 内蔵助の娘」南條範夫「行かないで!」、諸田玲子「悲恋」、山本周五郎「なんの花か薫る」。男の身勝手さばかりが目につき、男をやっているのが嫌になったw
2020/04/22
keith
男と女の業を描いた時代小説。短いのでどれもサクッと読めます。諸田さんのタイトル作がお気に入り。しかし、表紙は幽霊にしか見えんなあ。怨念がこもってそう。
2018/09/01
ひさか
2018年7月朝日時代小説文庫。蘇芳(安西篤子)、寛政女武道(池波正太郎)、恋の柳(北重人)、うそつき(澤田ふじ子) 、行かないで!(南條範夫) 、悲恋(諸田玲子)、なんの花か薫る(山本周五郎) の7つの短編による文庫オリジナルアンソロジー。形は違えどもいずれも恋情たっぷりの短編で、しかし、総じて、硬派な物語。よくぞ集めたと思います。楽しめました。
2018/09/30
山内正
お久は売り声を聞きながら弥太郎の腕に抱かれていた 戻らねばなりませぬと汗を拭い 着物を身に付けこれっきり今日限りの事にとお久は言う 夫が死に誘いを受けたと思う 他の弟子達に見向きもしない 牛堀先生に下女で仕えると決め 弥太郎様他言なされましたか 武士のなさる事ではと お久の部屋に踏込んだ兵馬がぎゃあと悲鳴で倒れ 他の弟子が入ったと入れ違いに道場へ 三人立て続け投げた鉄菱が目に 逃げ出す男の弥太郎を呼び 戸から半身の身体へ飛込ま脇差しを抜き腹を刺した 牛堀が帰宅しお久と弥太郎の死骸を見つけた
2022/04/04
mawaji
「いのち」「江戸旨いもの尽くし」に続いて読んだ朝日文庫時代小説アンソロジー、今回は「悲恋」。読んだことのある作家は池波正太郎と山本周五郎だけですが、他の作家さんも名前だけは存じ上げておりました。少し前向きになれる物語もありましたが、テーマがテーマだけに辛く悲しい気持ちになりつつも堪能しました。「なんの花か薫る」の解説にある「この花は知っていたんだね」という房之助のセリフに対して「若者の持つ無意識の傲慢が強く薫ってくる」という細谷正充氏の読みがとても深い。このシリーズ、時おり読みついでいくことにしましょう。
2022/04/01
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