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坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家 (朝日文庫)

作家
角田光代
出版社
朝日新聞出版
発売日
2018-12-07
ISBN
9784022649089
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「娘を殺した母親は、私かもしれない」――柴咲コウ主演で角田光代『坂の途中の家』ドラマ化

 角田光代の大人気小説『坂の途中の家』が、2019年春からWOWOWで連続ドラマ放送決定。特報映像も公開され、ファンからは「これは待ち遠しすぎる!」と歓喜の声が上がっている。

 同作は、専業主婦・山咲里沙子の生活を描いたヒューマンサスペンスストーリー。里沙子は、三歳の娘・文香と夫の3人で平穏な日々を送っていた。そんな時、裁判所から刑事事件の裁判員候補者に選ばれたという通知が届く。対象となる事件は、里沙子と同じ年頃の専業主婦・安藤水穂が生後8カ月の娘を浴槽に落として虐待死させたという衝撃的な案件。裁判所での面談を経て、里沙子は裁判員が急病などで欠席のときに代わりを務める「補充裁判員」へ選ばれることに。

 同じ子供を持つ母として、我が子を殺めた水穂に嫌悪感を抱く里沙子。しかし裁判の開廷後、里沙子は徐々に被告自身の境遇に自らの過去を重ね始める。家庭という密室で夫婦や親子の間で交わされた言葉は、時に刃物のように突き刺さることも。里沙子はやがて自身の心に眠っていた混沌とした感情に惑わされていくのだった─。

 里沙子役を演じるのは、大河ドラマ「おんな城主 直虎」…

2018/12/8

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坂の途中の家 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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のり

幼児虐待死事件の裁判員になった「里沙子」も幼い子を持つ身。子育ての多忙・苦難は自身に置き換えても経験中。周りの人の言動にも過剰に反応し殻に閉じ籠る。状況によって同じ言葉や接し方も、別の捉え方をする時がある。誰にも頼れない苦しさは想像を絶する。被告人の真意は何処に…本作は性別を問わず訴えてくる。思い当たる事も多々ある。このような痛ましい事件は本当に辛い。

2020/02/25

エドワード

日本は、何と子供を育てにくい国なのだろう。イクメンと言う言葉が流行るのは、仕事に囚われ育児をしない父親が圧倒的に多いことの裏返しだ。古い価値観に固執する両親の圧力、夫婦間の微妙な力関係、母親を孤独に追いやる要素ばかりだ。二歳の娘を持つ専業主婦の理沙子が、幼女を風呂で溺死させた若い母親の裁判の補充裁判員に選ばれた。公判の度に、娘を義父母に預けて出席する理沙子は、微細にわたり進められる審理の中で、次第に被告に自分を重ねていく。<私も同じ経験をした。>理沙子の心の描写が迫力満点、これも家族の姿。希望のある終幕。

2018/12/29

JKD

自分が我慢していることに誰も気づいてくれない苛立ち。自分は間違ってないことをしているつもりなのに周囲から間違っていると思われてしまう嫌な感覚。みんなは一般的な立場で物事を言っているのに、実際はそんな思うようにいかないといった当事者にしかわからないことが相手に伝わらないという苛立ち。真面目さゆえの気張りすぎ、考えすぎ、気にしすぎが負のスパイラルを増幅させていく。日常会話での些細なズレが不安あるいは不快になるという微妙な感覚がヒシヒシ伝わりました。

2018/12/30

nanako

久しぶりにつらい、苦しい読書でした。最初は中々頁をめくる手が進まず、途中で読むことをやめようか…とも思いましたが、どうしても結末が知りたくて、最後まで読み通しました。言いたいであろうことは、よくわかるんです。でも、最後まで読み通しても、最初の「つらい、苦しい」という印象が変わることはありませんでした。

2020/06/14

M

どんなサイコ小説よりも、心ごと苦悶の底へ引きずり込まれるような、怖気のする作品だった。子育て中に感じる、夫や義父母への違和感。相手からしたら、あるいは、端から見たら善意や親切そのもののようなそれが、自分にとっては攻撃や悪意にしか受け取れず、しかしそれを表明すれば自分がさらに悪者になってしまう気がする悪循環。厄介なのは、そういうことの積み重ねで精神的ダメージが深まり、本当に自分は狂気でダメな母親なのかもと自信を無くしさらに何気ない事に追い詰められるスパイラル。自分の親との関係が子育てに反映されると思う。

2019/02/17

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