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黒涙 (朝日文庫)

黒涙 (朝日文庫)

黒涙 (朝日文庫)

作家
月村了衛
出版社
朝日新聞出版
発売日
2019-09-06
ISBN
9784022649287
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黒涙 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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しんたろー

シリーズ2作目は、国家機密が中国に漏洩している根源を断つ為の特別チームに呼ばれた沢渡が、黒社会の義兄弟・沈と沈の弟分・ラウタンの協力で摘発に奔走する。1作目に比べるとパワーダウンを感じたが、ラウタンの魅力と彼とのラブアフェアを繰り広げる謎の女・シンシアの妖しさで補ってはいた。巻末の解説にある通り、沢渡に『必殺』の中村主水を投影しているのは伝わってきたが、沢渡自身に特別な技能がないので、敵をやっつける爽快感がないのが残念。とは言え、ノワール・エンタメとしては水準点以上だと思えるので次作を楽しみに待ちたい♬

2019/10/24

dr2006

勿論フィクションだと思っているが、某国の諜報活動への印象を強化する作品だった。党が絶対の国家の利益と忠誠、保身と造反に塗れた某国のスパイ組織は、日本の政治・経済・反社会に深く入り込んでいる。主人公沢渡は正当な刑事であるが、裏社会の組織”義水盟”の沈と兄弟の契りを結び、裏の情報に通じている。沈と沢渡の共通の目的は、某国のスパイ組織を摘発することだ。沢渡はとある巨大犯罪組織摘発の特別チームに抜擢される。願ってもないチャンスだ。疑心と信頼の表裏が映る人物造形が濃やかで好きだ。ビターなハードボイルドサスペンス。

2023/08/08

chiseiok

手慣れた感じにまとまった『黒警』の続編。肩凝らずにサクッと読めたのは良いけれど、キャラ描き込みもストーリーも前作よりもちょっとあっさりし過ぎぢゃね?死なせるキャラに思い入れさせるのは分かるけど、単純にいい奴だいい奴だって連呼してみても、すれっからしの読者はそう簡単に入れ込みませんよね。月村了衛は国内活劇小説界のエースと勝手に思っているので、期待値が高すぎるのかなぁ。軽い作品の大量生産は、大沢在昌先生の後追いをしているようで、ちょっと心配。まぁ大沢先生の『新宿鮫』同様、『機龍警察』は心配無いんだろうけどさ。

2019/11/02

hanchyan@自己ベスト更新

前作よりかは読み応えはあったか。実におっかないファムファタルとかグッと胸に来る侠気とか。しかしなんつうかこう、平日20時とかの地上波でノワール系の連ドラやるような違和感つうか。軽い。もっと踏み込めよ!的な。個人的に月村氏の作品に求めるものがあまりみつけられない感じでした。うーん。スイマセン。

2020/12/17

Katsuto Yoshinaga

「公安が協力者を獲得する際、「MICE」という言葉を念頭におく。MONEY(金)、IDEOROGY(イデオロギー)、COMPROMISE(屈従)、EGO(自尊心)の頭文字を集めた造語である」ということが序盤に書かれている。「黒警」の2作目は、このMICEを背景にスパイたちが暗躍する。中盤あたりまでヌルい感じで物語が描かれ、私が評価しない著者の通俗な部分が鼻についたが、これは後半のカタルシスへの布石であった。解説氏が著者の必殺仕事人へのオマージュを指摘していることに得心がゆく。主水好きとしては楽しめた。

2020/08/16

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