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錆びた太陽 (朝日文庫)

錆びた太陽 (朝日文庫)

錆びた太陽 (朝日文庫)

作家
恩田陸
出版社
朝日新聞出版
発売日
2019-11-07
ISBN
9784022649393
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錆びた太陽 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

原発事故の話題をお叱りを受けるギリギリ一歩手前の絶妙なバランスを保ちながら、それでいて恩田さんらしいドタバタ劇と言葉遊び、そしてさりげない問題提起、さらには喧騒が去った後の独特な余韻まで感じさせてくれるこの作品。70年代の刑事ドラマのキャラ名や昭和歌謡の数々、作品の最初から最後までここまで書くかという位に登場してくる怒涛の表現の数々には、これらを知る方とそれ以降の世代では、受ける印象が相当異なるようにも感じました。自分には見ることのない遥かな未来世界の近さと遠さ、面白さと難しさを垣間見るそんな作品でした。

2021/11/09

相田うえお

★★★★★19109 面白かったー!21世紀の半ば、全ての原発停止を求めた過激派団体と政府との交渉決裂から、原発を次々と爆破され、国土の20%が立ち入り制限区域になってしまった未来の日本が舞台。このエリアは人型ロボットが管理しているのですが、微妙〜に『お笑い?』が入ってて『とんねるずのサンバーダード(サンダーバードのパロディー)』が思い浮かんできました。ほんのりとコメディータッチではあるのですが、奥深いメッセージ性は感じられましたよ。これ、実写,アニメ,映画,TV,問わず、是非とも映像化して欲しいなぁ〜!

2019/12/09

dr2006

原発大事故の結果、異形の姿となってしまった人々が存在する。彼らが居る場所は、放射線、感電、毒物等のハザードが物々しく人が近づけない為、立入制限区域としてヒューマノイドが維持管理している。ロボット三原則や人口減少による人的資源の枯渇、国家の脆弱化と統治不全、核のゴミ問題等コミカルタッチだが、扱う主題は重い。そんなある日、彼らが働く施設へ生身の人間、国税庁職員の徳子がやってきた。人の曖昧さとヒューマノイドの実直さによる会話の齟齬や、人と接することに慣れていないヒューマノイド達の視点(主人公)が面白かった。

2021/04/10

NADIA

屈強なロボット(人造人間?)たちのラジオ体操で始まる物語は、シリアスなタイトルから受ける印象と真逆だ。原発事故により国土の2割と国民の半分を失った未来の日本。税収も減り、マルピー(ほぼゾンビ)と化した元人間にも課税できればと考える国税庁から派遣された財護徳子。ロボットたちは三原則に則り徳子を守りながら、自分たちの任務を進める。SF的でありながら漂う昭和臭、コミカルな語り口は『ロミオとロミオは永遠に』を彷彿とさせる。だが、この作品の舞台である未来日本の様は全くフィクションだからと言い切れない怖さを感じる。

2021/02/24

mocha

放射能汚染によって立入り制限区域だらけになった近未来の日本。人口は激減し財政も逼迫。重いSFかと思ったら、コメディタッチでびっくりした。地域の治安を守るロボットたちが、国税庁から派遣された財護徳子に振り回され、マルピーと呼ばれるゾンビや〈猫〉に立ち向かう。随所にちりばめられた昭和ネタが可笑しい。東北出身の恩田さんだから書けた作品だと思う。九州出身だったりしたら顰蹙を買うかもしれない。

2022/08/10

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