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老乱 (朝日文庫)

老乱 (朝日文庫)

老乱 (朝日文庫)

作家
久坂部羊
出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-01-07
ISBN
9784022649430
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老乱 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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ふじさん

解説者の言葉にあるように、この作品は、「久坂部さんが当事者となったこの体験なくしては書き得なかったのではないか。」。老い衰ろえる不安を抱える幸造と、介護の負担に押しつぶされそうな知之・雅美夫婦。介護する家族側の視点だけでなく、認知症を患う老人の心の動きも細やかに描き、親子の幸せとは何かを問い続ける。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、迫力満点の認知症を扱った力作。作品の最後に書かれた「認知症は視点を変えれば介護者に偉大な力を与える。本作はその一つの証左である。」、この言葉は意味深い。人ごとではない。

2021/06/22

アッシュ姉

認知症という病は残酷だ。当人、介護する側、両方苦しい。何がつらいって治らないというのが一番しんどい。治そうと思わずに受け入れるという医師のアドバイスになるほどと思うものの、簡単には実践できそうにない。最近ますます物忘れがひどく、親の介護よりも自分が先に呆けてしまうのではないかと深刻になってしまった(漢字十個も出てこない)。認知症と向き合う心構えがほんの少しできたので、読むべき白羊本だった。

2020/10/27

大阪魂

これも認知症のお話。「長いお別れ」はコミカルやったけど、この話はむちゃ生々しかった💦息子たちに迷惑かけんとこって一人暮らししてる五十川幸造の認知症がどんどん進んで、息子・知之とその妻・雅美は振り回されまくってまう…嫁たちの経済的な不安とか賠償リスクとかセクハラリスクとかへの悩みも生々しいねんけど、幸造の視点から認知症が進んでまうことの不安や絶望感もむちゃ伝わってきた…認知症の人は叱ったりしていやな思いさせたらあかん、ありのまま受け入れて楽しい気分にさせなあかんのやね…3人の性格ちゃう医者の言葉も響いた…

2022/10/09

鍵ちゃん

老い衰える不安をかかえる老人と、介護の負担でつぶれそうな家族。介護する側の視点だけでなく、認知症になった老人の動きも細かくえがき、親と子の幸せのかたちを探る。迫力満点の認知症小説。認知症ではなかったが一昨年亡くなった義父を思い出し懐かしく読み進められた。笑いあり、涙あり、読み応え抜群。映画化かドラマでもいい、映像になってほしい作品でした。

2021/03/05

myon

筆者は在宅医療従事の経験もある医師であり、実の父親を介護し看取っている。認知症によって介護される側の、途方に暮れた不安な荒れた心理状態がひしひしと伝わってくる。長寿の時代、誰にでも起きることだけれど、何もわからなくなって穏やかな死へ向かうのも人生最後の救いであり祝福だと思う。

2021/03/11

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