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文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか (朝日文庫)

文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか (朝日文庫)

文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか (朝日文庫)

作家
永江朗
岩田健太郎
出版社
朝日新聞出版
発売日
2021-08-06
ISBN
9784022650009
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「文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか (朝日文庫)」のおすすめレビュー

20世紀最大の感染症を、当時の文豪たちはどう表現したのか。コロナ禍を生きるヒントがそこに

『文豪と感染症』(永江朗:編/朝日新聞出版)

「緊急事態宣言が再び発令」 「東京都の一日の新規感染者数五千人以上に」 「医療ひっ迫」

 毎日、ニュースは新型コロナによる緊迫した現況を伝え続ける。

 3月半ば、筆者も発症した。診断日の新規感染者数が300人ちょうどだったのを覚えている。あのときですら深刻な状況だった。

 でも、パンデミックは人類史上初めてのことではない。過去に感染症が流行したとき、人々はどうしていたのか知ることができれば「今の状況」がより浮き彫りになるのではないかと感じた。

 ヒントがほしいと手に取ったのが『文豪と感染症』(永江朗:編/朝日新聞出版)である。

 タイトルの「感染症」は大正時代に日本でも発症者が激増したスペイン風邪を指す。世界で四千万人が亡くなり、日本国内では感染者数二千万人以上、死者は四十五万人といわれている。

 編者の永江朗さんも述べているが、不思議なことに、やがてスペイン風邪は人々の記憶から消えた。しかし、当時の文豪はまざまざとスペイン風邪の「リアル」を文章で綴った。

 与謝野晶子は評論『死の恐怖』で予防をしないことの愚かしさ…

2021/9/22

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文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか (朝日文庫) / 感想・レビュー

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シナモン

約100年前に大流行したスペイン風邪を題材にした文豪たちのアンソロジー。子供の感染に神経質になる親、結婚式当日に発病してしまった令嬢、マスクをめぐる心の有り様、細かく描かれた病状などフィクション、ノンフィクションありの内容で当時の世の中の様子がよく分かり興味深かった。凄さは分かっていても普段なかなか接することがない文豪たちの文章に触れるという意味でも読んで良かった。難しいかなと思ったけど解説もついているので読みやすかったです。

2021/08/19

さつき

芥川龍之介の書簡、与謝野晶子の新聞寄稿文、永井荷風の日記など様々な形式の文章のアンソロジー。文豪達がスペイン風邪流行をどう見て過ごしていたかよくわかります。予防接種をしたりマスクをしたり人通りの多いイベントを自粛したりコロナ禍そっくりの行動に親近感を覚え、100年経っても人の行動は何も変わらないんだなぁと思いました。中でも志賀直哉の自伝的小説が面白くて収穫でした。歯切れの良い文章でスペイン風邪にまつわる悲喜こもごもが描かれていて、感染症の予防に対する人との温度差など今読むと身につまされる事ばかり。

2023/09/03

shikashika555

Twitterで流れてきた表紙に興味をひかれて購入。 文豪の罹患した感染症や死因についての本かと思っていたら、大正時代に流行ったスペイン風邪に題材をとった短編や書簡や日記をまとめているアンソロジーであった。 罹患した際の症状の経過や心持ち、看護や治療についての言及、罹患を恐れるがための行動、政府の無策に対する批判などの記述が 100年経っても変わらぬものであると感じた。 菊池寛の「マスク」に出てくる医師の診断に刮目。聴診だけでたちまち弁膜症と右心肥大を言い当てて 治療法は「脂肪を食わず魚を食せ」と🙄

2021/08/14

里季

1918年ごろから世界中に広まったスペイン風邪を、文豪たちはどう書いたかを検証する。何篇かあるうち、志賀直哉の「流行感冒」は、NHKでもドラマ化され、面白く読んだ。今の新型コロナ感染症にも通ずる時の文豪たちのの感染症に対する処し方がわかり、興味深かった。

2021/10/14

メタボン

☆☆☆★ 大正時代に猛威をふるったスペイン風邪を題材にしたアンソロジー。嘘をついて芝居に行った女中だけが感冒にかからず甲斐甲斐しく介護する「志賀直哉・流行感冒」が良かった(何となく前に読んだ気がする)。前妻の死はその夫が差し向けたものだと探偵が追い込んでいくのがスリリングな「谷崎潤一郎・途上」。寝込んだ友人に代わって因縁ある家からの援助を拒む「菊池寛・神の如く弱し」。「宮本百合子・伸子」の病気の描写はリアル。兵隊たちが感冒でバタバタと倒れる「志賀直哉・十一月三日午後の事」。

2021/08/30

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