朝日文庫時代小説アンソロジー『わかれ』
朝日文庫時代小説アンソロジー『わかれ』 / 感想・レビュー
いつでも母さん
これだから細谷正充さん編のアンソロジーはやめられない。苦しくも切ない別れ・・女性作家6名による6編。どれも好い。親友との苦い別れ、病死した兄を慕う幼少の弟、侍を辞め染井吉野を造った植木職人の妻との死別、夫に見切りをつける妻、猫との別れ、結婚間近で失明したつまみ細工の簪職人・おりよのわかれ・・既読もあったがいいものは何度読んでも良い。「さよならだけが人生だ」は誰が言った言葉だったか・・齢を重ねて色んな『わかれ』を経験してきたが、これからは心が痛いのは小説だけだといいなぁ。
2022/03/31
じいじ
目下、売り出し中の中堅女流書き手による時代小説アンソロジー。読み始めて間もなく、ノッピキならぬ野暮用で、読了が2・3日遅れてしまった。どれも好きな作家で愉しめた。【三途の川】の折口真喜子は初読み。筋書きはちょっぴりホラーぽいが、兄弟愛が丁寧に描かれていて、なかなか良かった。北原亞以子の【橋を渡って】は、今作のイチ押し。夫婦の駆け引きが面白かった。自身の浮気を棚に上げて、義弟の浮気を説教する主人公が可笑しかった。よくできた女房をもった亭主は幸せ者ですね。
2022/05/13
しいたけ
「わかれ」をテーマにセレクトされた時代小説のアンソロジー。六編どれも素晴らしかった。別れに至るまでの物語には、当然のごとく別れた後の生き方が滲み出る。特に良かったものを書こうとして読み返し、またそれぞれの結末の妙に嵌ってしまった。西條奈加の猫が主役の短編『十市と赤』は、感動つづきの中休みかと読み始めたが、終盤に落涙。侮った私が馬鹿だった。
2022/03/10
けやき
別れがテーマの時代小説アンソロジー。朝井まかての「ひってん」や折口真喜子の「三途の川」が好き。西條奈加の「十市と赤」を読んで、それが含まれている連作集「猫の傀儡」を読んでみたくなった。
2022/03/13
のんちゃん
題名通り別れを扱った時代小説アンソロジー。編者の細谷氏も解説で「特に意識したわけではないが」全部女性作家作品になった、と言われている。時代小説は女性作家さん贔屓の私には、嬉しい一冊だった。底本を知らないとわからない様な人間関係の繋がりもなく、大変読みやすかった。特に西條奈加さんの猫ものがユニークで面白かった。また、北原亞以子さんには流石の筆力を感じたし、志川節子さん作品は底本を積んであるので、読む楽しみが増した。それぞれの作家さんを知るのにも良い一冊。
2022/04/08
感想・レビューをもっと見る
「朝井まかて」の関連作品
「折口真喜子」の関連作品
「木内昇」の関連作品
何げなくて恋しい記憶 随筆集 あなたの暮らしを教えてください1 (随筆集 あなたの暮らしを教えてください 1)
- 作家
- 三崎亜記
- 松家仁之
- 木内昇
- 蜂飼耳
- 駒沢敏器
- 山根基世
- 三浦しをん
- 山田太一
- 水内 喜久雄
- 多和田葉子
- 高 史明
- 佐々木美穂
- 野崎歓
- 関川夏央
- 戌井昭人
- 山根一眞
- 池澤夏樹
- 森絵都
- 萩尾望都
- 萩原朔美
- 長嶋有
- 高橋源一郎
- 長島有里枝
- 元村 有希子
- 姫野カオルコ
- 赤坂真理
- 片山健
- 大久保真紀
- 山口未花子
- 増田明美
- 阿部和重
- 寺尾 紗穂
- 川島小鳥
- あさのあつこ
- 片桐はいり
- 秋野暢子
- 前田英樹
- 川内倫子
- 内田春菊
- 平田 明子
- 呉美保
- 那波 かおり
- 辻村深月
- 森田真生
- 砂田麻美
- 大宮エリー
- 温又柔
- 坂本美雨
- ジェーン・スー
- 金井真紀
- 望月衣塑子
- 速水健朗
- 木内みどり
- 新井紀子
- 加藤千恵
- 本名陽子
- 内田樹
- カヒミ・カリィ
- 久保田智子
- サヘル ローズ
- 仲野徹
- 加瀬健太郎
- 山崎ナオコーラ
- イッセー尾形
- 安東量子
- 大竹しのぶ
- 曽我部恵一
- 津野海太郎
- 島田潤一郎
- 俵万智
- 出版社
- 暮しの手帖社
- 発売日
- 2023-03-20
- ISBN
- 9784766002294