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カザアナ (朝日文庫)

カザアナ (朝日文庫)

カザアナ (朝日文庫)

作家
森絵都
出版社
朝日新聞出版
発売日
2022-05-06
ISBN
9784022650429
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「カザアナ (朝日文庫)」のおすすめレビュー

東京五輪から約20年後の日本が舞台。鬱屈とした時代に風穴を開ける! 森絵都氏が描く、圧倒のSFファンタジー

『カザアナ』(森絵都/朝日新聞出版)

 コロナの流行が少しは落ち着いたが、それでも時代の閉塞感は消えない。どんどん世の中が悪い方向に転げ落ちていくような危機感を覚えながらも、何をどうすることもできず、ただ呆然としているという人も少なくないだろう。

 そんな時代の空気を吹き飛ばすかのような作品が、森絵都氏の『カザアナ』(朝日新聞出版)。平安時代と近未来の東京が時空を超えて掛け合わされる圧倒のSFファンタジーだ。息苦しい時代の中でもパワフルに活躍する登場人物たちの姿に、読めば読むほど、心が弾む。興奮とサプライズあふれた内容に、前向きな気持ちを取り戻すことができそうな物語だ。

 舞台は、東京五輪から約20年後の日本。観光産業に力を注ぐ政府は、古き良き日本の再生に躍起になっている。景勝特区という観光地を作り、外国人観光客を呼びこもうとする一方で、それにそぐわない存在は徹底的に排除。国民の国への忠誠度は数値化され、空には国民を見張る監視ドローンが飛んでいる。

 そんなディストピアともいえる近未来の東京で暮らす入谷家の人々がこの物語の主人公だ。アイルランド人と日本…

2022/6/21

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カザアナ (朝日文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

この作品では『天気に通じる空読』、『虫をつかうことができる』虫読、そして『石の記憶を読む石読』という平安時代に活躍した『風穴』たちの子孫が、近未来の日本でも活躍する様を見ることが出来ました。そんな物語を読めば読むほどに一つの想いが読者にも湧き上がります。『この世界は、人間が思ってるほど人間だけのものでもないみたい』。この世のあらゆるものたちが形作っているこの世界が愛おしく感じるこの作品。ファンタジー世界の描写をお手のものとされる森絵都さんだからこそ描ける近未来の物語世界を楽しませていただいた作品でした。

2022/10/04

ふう

カザアナ。風穴。石を読む石読み。空を読む空読み…。物語は不思議な紹介から始まり、風穴を通って何だか不穏な世界へ連れていかれるのではと思いましたが、そこはやっぱり森絵都さん。通り抜けた先に見えたのは“希望”でした。自分の心に素直に、自然が語りかける声に素直に耳を傾けると、人はもっと謙虚て穏やかに生きられる。そして、世界は変えていけると、柔らかなメッセージが織り込められていました。何より為政者、政治家は穏やかでいてほしいと、今、切に願います。

2022/05/24

chimako

「こんな風になるのも時間の問題かも」とか「でも、これは嫌だな」とか、ファンタジーを読みながら現実と向き合う読書。風穴と言われる一族。自然との関わりが深く対話もできる。その昔は貴族のがこぞって我が物とし、その後入道によって根絶やしにされた哀れで悲しい地の者の末裔が壊れかけた国を何とかしようと近未来の日本で鳥や石や空の声を聴く。そこに関わる外国の血の混じる姉弟とその母。外国人観光客のために過度な日本趣味で作り替えられる街、監視のドローン、国民点数制度。こんな世の中にしないため、今私たちに出来ることは何だろう。

2024/01/21

ピース

平安時代にいたカザアナといわれる不思議な力を持ったものの末裔が現代で繰り広げる物語。地下資源を巡りアメリカ大統領誘拐まで起きる。それでも深刻な話でもないし政治の匂いもしない。それより由阿のは行動力とパワーは頼もしかった。

2022/09/19

ピロ麻呂

読むのに時間がかかってしまった😵💧確かに日本は、これから観光に力を入れていくべき。日本古来の文化をもっと大切にしていかなければ。

2022/06/03

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