ジャングル・ブック 第1部 完訳版 (偕成社文庫 3173)
ジャングル・ブック 第1部 完訳版 (偕成社文庫 3173) / 感想・レビュー
tom
年末に「墓場の少年」を読んで楽しんだ。この本の著者は、ジャングルブックに熱中したと書き、翻訳した金原さんは「読んでくれ」と書いている。ということで借りて来た。不幸な出来事でジャングルに取り残された幼児モウグリ、彼はオオカミに育てられる。ここから物語は始まるのだけど、最初のうちはタラタラという感じ。何が面白いのか、インドを貪り食ったイギリス人がドヤ顔で書いた少年向け冒険小説という印象。仕方なく読み続けたのだけど、次第に引き込まれる。モウグリの縦横無尽の活躍と仲間たちへの信頼感、これが心地よいのかもしれない。
2024/01/07
ゆうづつ
「よき獲物を!」――ジャングルで暮らす人間のモウグリと動物たちの物語。ユニークで魅力的な動物たちが、ジャングルのルールについて教えてくれます。違う世界、違うルールで暮らしている生き物が相容れるのは難しいですね。人間にもオオカミにもなれないモウグリはこれから人間への道を進むようなので、第二部でどんな心境の変化があるのか楽しみです。それにしても、黒ヒョウのバギーラは良いキャラだなあ。
2013/06/04
ヴェルナーの日記
前に講談社版を読んでいたでみて、今回、偕成社版を読んでみました。改めて感じることは、本物語の世界観が、極めて社会学の概念に通じているということです。モーグリは、オオカミとして育てられるが、成長するにしたがって、ジャングル社会から疎外され、一旦は人間社会に戻ります。しかし、ここにも溶け込めないモーグリの葛藤(自己の確立)が描かれている。それはジャングルという、一つの社会を構成する掟(ルール、規律)が幾重にも存在し、ここに生きる者は、これらの掟に従うことを強要され、破る者は、相応の罰則があることを示している。
2014/02/03
刳森伸一
意外と血生臭く、毒にも薬にもならない幼稚な児童文学とは一線を画す内容だった。特に、掟や自由、復讐や報復などを価値とする原始的な社会を投影したかのような世界が印象的。
2016/08/20
きくまる
子どもに古典的児童文学を勧めるべきかを考えていて手にした作品。絵本『赤いおおかみ』的内容かと思ったら全く違った。自分が所属できる場を持たない運命の少年モウグリの非常に人間的苦悩が常にある。動物界は掟には絶対『したがえ』の世界。これを上手に利用して動物たちを動かし敵を倒し憎い村を『ジャングル』の力で滅ぼし、すごい子なんだな、これが。難しいことを考えずにわくわく読める点ではとてもいいんだけど、白人は魔女狩りはしないとか、なんだか白人が妙に偉くないか?これ違うからねとか指摘すべき?…と言いつつ2巻へ。
2014/10/06
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