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炎のように鳥のように (偕成社文庫 4069)

炎のように鳥のように (偕成社文庫 4069)

炎のように鳥のように (偕成社文庫 4069)

作家
皆川博子
出版社
偕成社
発売日
1993-08-01
ISBN
9784038506901
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炎のように鳥のように (偕成社文庫 4069) / 感想・レビュー

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けろりん

鉄と令が、少年の世界を変えた。父母きょうだい、名を持たずともその手触りで、温もりで、血を分けた者の紐帯は揺るぎなかった。里の者と手を携え、自然が齎す恩寵と試練を分かち合い生きて来た。ミヤコの人々が、少年に身分を与えた。説明なく殴られ、牛馬の如く使役され、小さくひ弱な童に額づけと。幼き貴人は見ていた。きょうだいが諍い、親が子を弑し、罪なき民から搾取する己が一族を。満天の星の下、誇り高き若者は語り、皇統の枝葉から自らを毟り捨てた日継ぎの皇子は思い出す。御陵の傍らで。羽ばたく事の無かった空を。静かに燃えた炎を。

2022/08/02

びっぐすとん

「歴史が好きなら」と新聞書評を読んだ親が12才の時に買ってくれた。私の初皆川博子作品。当時は天武や持統天皇は勿論、草壁皇子など知らなかったけど、子供向けとは思えない硬質な文章で語られる草壁皇子と彼の奴・小鹿の人生の、子供向けの本にはない暗さ、重さに衝撃を受け、特に奴隷の生活の辛さが淡々と描かれていて、この時代に興味を覚えた。ただ私は草壁より大津皇子のファンだけど。アノ両親からよくもこんな気弱な息子が生まれたものだと思うが、本人も自分の不甲斐なさが辛かっただろうな。若死にしたのも大津の死が原因の一つだろう。

iuba

皆川さんの、児童書、そして草壁王子あたりの歴史物でメインは男の子二人…最初はすこしライトな話かなと予想して読み始めたけれど、そんなことは!なかった!しっかり皆川さんらしい骨太な作品にまとまっている。交互に語られる心情とストーリーのなかで、王子の柔らかくおぼつかないやさしさ、そして小鹿の無骨に削り出された自由への希求と、誇りを失うまいと背筋を伸ばす様子の対比が生き生きと描かれている。あの瞬間、一生涯を生ききったのか、と自問し、否定する小鹿の凛とした姿が印象的。そして、挿し絵が怖い。

2012/04/06

PHPの皆川博子さんエッセイで気になり読みました。壬申の乱をモチーフに、草壁皇子と国栖の小鹿というふたりの少年が代わる代わる描かれます。児童書になるのかもだけれど、語り口こそちょっと易しいけれど心理描写は易しくなくいつもの皆川さんで重苦しくて良かったです。そこにいるかのような風景や風俗の描写もさすがです。解説の、皆川さんの金のバラのブローチからの「少年の裏側の弁護の象徴」が好きでした。この頃はまだ、児童書と時代物を主に書かれてた頃なのか。。

2024/01/23

メイロング

誰向けの小説だ! 内容のハードさはサトクリフのよう。後年の作品まで受け継がれていく少年同士の友情というテーマが前面に出ていてニヤリ。二人称小説はこうして向かい合わせにすると、間に話が立ち上ってくる効果があるんだね。挿絵の上手いのはわかるのだけど、なんかスポーツ紙に載ってるエロ小説の挿絵みたい。

2012/09/12

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