線 (角川文庫)
線 (角川文庫) / 感想・レビュー
koba
★★☆☆☆
2015/03/29
nnpusnsn1945
全ての話は独立した短編だが、どれもニューギニア戦線を部隊にしている。戦闘は少ないが、そのかわり伝染病が深刻である。保坂正康氏の解説も良い。感情的ではないが、容赦なき現実を描写できた作品である。古処誠二氏の作品で最初に読むにはおすすめ。
2021/02/20
ネムル
戦争は茶番劇である。こうした認識が半ば共通化したなかでの個人の策謀、疑心、生存欲求と諦観。茶番化した戦争にはミステリの形式がよく合う。特に「糊塗」「銃後からの手紙」がよい。
2019/06/10
リュウジ
★3 歩兵だけではない。その戦場には工兵も駄馬兵も敵兵も病兵も傷兵もいた。ニューギニアが舞台の短編が9つ。作者は1970年生まれ。あの戦争を知らないからこそ生まれる視点は哲学的ですらある。「(進んだ兵器を有しながら)なぜか食い物に困っている」。「勝手に上陸して、勝手に腹を空かせている」。「多かれ少なかれ誰もがいまだに生きている自分を恨んでいた」。彼らはなぜ戦っているのかさえ見失う。生きて帰る(またはここで死ぬ)ことが戦いの目的となる。ニューギニアの戦いは終戦の日まで続き死んだ兵は13万とも15万ともいう。
2022/11/08
馨
当時の帝国陸軍の内部の醜い部分、残酷な戦争の描写もしっかりと書かれているのできっとこんなだったんだろうと想像できました。 『銃後からの手紙』が印象的でした。豪軍兵士の母からの手紙を読んで故郷を恋しく思う日本兵。。。きっといたのでしょうね。どこの国でも家族の愛は共通なのに、それぞれの国が望む平和の形が違うと戦争をしてしまうことに胸が痛くなりました。
2013/09/28
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